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『篤姫』vol.28「ふたつの遺言」

今年最大のイベント回であろう今回。
最愛の夫と父をほとんど同時に失うという、まるでメロドラマのような怒涛の展開でしたが、これでほぼ史実の通りなのですから、まさに「事実は小説よりも奇なり」ですね。



 
それにしても、前回の掟破りが思わぬ伏線になったいたのは意外でしたね。
あんな正直どうでもいいようなことで御錠口を突破したヒロインが、肝心要の所でその技を使うことができなかったという実に皮肉な結末。

奥の手はここぞという場面にこそ使うべし!との教訓ですか?
とはいえ、家定の哀れさを増す効果には一役買ったと言ってもいいかもしれませんが… (;_;)


しかし、政治向きの話なども立て込んでいたので、ぱっと見て時間経過がわかりづらいところがありましたが、順を追って見て行くと、

  4月25日 井伊直弼大老就任(年表などでは23日とするものが多いですが)
        この直後に家定倒れる
  6月25日 紀州藩主徳川慶福の将軍継嗣決定を公表
  7月 5日 一橋派の処分を発表
  7月 6日 徳川家定薨去
  7月16日 島津斉彬死去

そして、篤姫の許に斉彬と家定の訃報がもたらされたのが、家定薨去から「1ヵ月近く」後とすると7月末頃になりましょうか。

こうして見ると、発病から家定と御台の会えない日々は実に3ヶ月近くにも及んだことになるのですよね。朝の仏間での拝礼ももちろん長期欠席だったのでしょうから、いくら侍医の偽証があったにしても、持ち前の勘の鋭さからいえば、もっと早くに尋常ではないと疑いを持ってもよさそうなものですが…。滝山の奏上を聞くまで何の疑いもなくのほほんとしているとは、これまでの篤姫様では考えられない痛恨の大失策!

よもやあれだけしつこいほど繰り返し出して来た朝のお勤めのシーンをすっかり忘れていたなんて言いませんよね (^^;)


それはさておき、ドラマ内での家定の死は暗にぼやかされていましたが、井伊の大老就任からの一連の流れを見ていると、一橋派が一掃された7月5日よりも以前に既に亡くなっていたかのような印象も…。この処分と薨去が一日違いというのが、一橋派の報復による毒殺などの憶測を呼ぶことにもなっていたりしますが、妙にタイミングが良すぎて却って不可解に思えるぐらいで…(源平時代の鹿谷の変と延暦寺攻撃の関係性並に)。

案外、実際も家定の死を伏せたまま粛清人事を行い、その後で公表という形をとったのではないかという気もして来ました。そうすれば処分を下した張本人が表向きは将軍家定ということになり、影の実行犯(爆)の井伊はひとまず矢面に立つ危険を避けられるという見方もできますから…。
あれだけ将軍の生死はひた隠しにするのがデフォルトなら、薨去日の操作などお茶の子さいさいでしょうからね。

しかし、そう考えるとどちらか言えば紀州派の方が暗殺の黒幕の疑いは濃くなるようにも…。
次期将軍が慶福に定められた時点で、もはや家定は無用の長物。
むしろ薩摩出身の正室がいることで、一橋派排除の動きにも待ったをかける可能性があり、目の上の瘤になりかねない厄介者という認識を持っても不自然ではなく…。
とすると、間接的でも、篤姫の存在が家定の命を縮めたと言えなくも… (^^ゞ


閑話休題。
一方、もう一人の退場者・島津斉彬殿はといえば…、
珍しく臨終シーンを実演してくれたものの、しかし、最後に名誉挽回!の期待も虚しく、かえって恥の上塗りになってしまいましたね。
今わの際に及んでも「姫を奪った」などと尚五郎に詫びさせられることになろうとは…。

「天下に並びない名君」の最期としては哀れこの上なし!

それに、親族の忠敬と並んで最後のお別れを許される小松帯刀って、どんだけ出世しちゃってるんですか? さすがにあの遣り取りは忠敬の到着前に済ませておくべきでしょう。
藩主としてではなく、篤姫の父としての私情から詫びるという形にして、臨終ではあくまでも藩主としての威厳を保って逝っていただきたかったですね。

やはり最後の最後に「姫に会いたかった…」のセリフを言わせるためのこの段取りですか?


それにしても、一回で二人、それもヒロインにとって最も重要な人物二人の死をまとめて片付けてしまうのは、さすがに詰め込みすぎだったのではないかと…。

まあ、実際に二人の逝去日がわずか10日しか違わない史実を踏まえれば、こういうやり方ももちろんアリなのでしょうが、元々、江戸と薩摩の二元中継の処理がお世辞にも上手いとはいえない状況でしたから、危惧した通り、ほとんど段取りを追うだけのブツギリで、結局どっちつかずという印象を受けました。

斉彬の書状を正真正銘の「遺言」にするために、わざわざ存命中には封を切らせずにおいたのも、余計にドタバタ感も増したようにも感じましたし…。できれば、将軍継嗣問題にケリがついた時点で自ら開封して手紙を読み、改めて父を裏切った悔恨に暮れるというシーンが先にあった方が良かったのではないかと思います。

何しろ篤姫様に全く感情移入できない最大の要因が、自省するシーンがほぼ皆無に等しい(と感じる)所ですからね。
「命に換えても」と誓ったはずの斉彬の密命を反故にするのにも大して葛藤を見せず(そう見えただけで実はしていた?)、その後も執拗にせっつく幾島にも煙たげに見るだけでまるで耳を貸そうとしない(これもそう見えただけ?)では、国の命運をも左右する使命とやらが妙に軽いものにように見えるばかりで…。

ですので、ここへ来て幾島が急に距離を置き始めたのにも、とうとう呆れ果てて姫のことを見放したのか…と少々溜飲を下げるところもあり、逆に後釜に収まる準備万端の様相を呈して来た滝山には何やら小者臭が増して来ているようでもあり…。

これってアンチ化路線まっしぐらですよね (^^ゞ

それにしても、滝山殿の心理の変化に関してはもう少しきちんと書き込めなかったものでしょうか。
いつも本寿院様の腰巾着扱いに終始し、あの天衣無縫の強烈暴走キャラの前にほとんど空気と化していたのは、今さらながらもったいない限りで…。もっと独立したキャラ立てをしていれば、井伊大老推挙の署名の下りも一層印象深いシーンになっていたでしょうに。

いくらでも魅力的に描けそうなキャラがゴロゴロ転がっているのに、それを生かそうという気概が今のところほとんど伝わって来ないのは非常に残念ですね。要は、今となってはまだよく描けていた方だったと思える薩摩時代のキャラ数が適正数だったということでしょうか。
by kiratemari | 2008-07-15 23:13 | テレビ | Trackback | Comments(2)
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Commented by ともp at 2008-07-18 11:26 x
手鞠様、こんにちは。
家定公、斉彬公、逝ってしまわれましたね。
斉彬公の仰々しいご最期、手鞠様の『恥の上塗り』というご意見に全面的に賛同せざるをえません。
これに対して家定公のご最期の寂しいこと。
原作ではこの間何度も表に使いをやり、やきもきしている篤姫の様子が書き込まれているのですが…。でもまあ家定公に関してはあれでよかったかな、と思います。
公よりも私を選択してしまった家定に天罰が下ったわけですから。

なお、史実では家定は大奥で倒れています。
7月3日に井伊直弼達は普段入れない大奥の寝所で家定にあっています。4日にも井伊は大奥で少し回復した家定と政務の話をしています。その2日後に家定は亡くなっていますから、たぶん家定は大奥で亡くなったのだろうと『幕末の大奥』(畑尚子著)に書いてありました。

今回の家定公の描き方は、司馬遼太郎氏の著作に代表されるような暗愚な家定像からの名誉回復と思えばよかったのかもしれません。
ただそれなら旧事諮問録等から推察される、癇性であったものの愚直に国のことを考えていた家定公を見たかったと思います。
堺さんの演技力ならそれができたと思うのですが。

Commented by 手鞠 at 2008-07-18 22:28 x
ともp様、こんばんは~♪
史実では家定は大奥で倒れているのですか。
ここは原作の設定をとったということでしょうが、その原作ともかなり雰囲気が異なりますね。
大仰な斉彬と比べると意外にあっさりだったのは、家定の死そのものよりもそれを悲しむ篤姫を見せることが最優先ということでしょうね。

どうも坐棺との対面シーンが一番最初にあって、それに繋ぐために話が組み立てられたような節が…。あそこで突然の衝撃のインパクトを増すために、何も知らされず、また何も知ろうとしない、それまでの流れでは不自然極まりない経緯を辿ることになったみたいで…。

従来とは違う家定像を描こうとの意欲はわかならくもないですが、結局は奇麗事に逃げたという印象ですね。
そもそもウツケかマトモかの二択ではっきり白黒つけようとすること自体がナンセンスで…。
二つの間を入ったり来たりする振れ幅の違いが「個性」に繋がるのが人間の面白さだと思いますし、実際、カミングアウトするまでの家定はウツケに見えてマトモ、マトモと思いきやウツケ…というつかみ所のなさを好演していただけに、尚の事もったいなかったように思います。

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