CS『おんな太閤記』
3月下旬よりCSの時代劇専門chで放送されていた『おんな太閤記』が、昨日ついに最終回を迎えましたが、これがまた、久しぶりに終わるのが惜しいと感じられる作品でした (^^)v
『おんな太閤記』は昭和56年(1981)放映とありますので、今から27年前の作品になりますか。
思い返すに、リルタイムで最初から最後まで見た初めての大河ドラマがこれだったと思います。
実際に初めて見たと言えるのは、この二年前の『草燃える』ですが、これは途中から見始めたものでしたし、その翌年の『獅子の時代』は逆に途中で脱落。近代物はお子ちゃまには難易度が高すぎました (^^ゞ
そのお子ちゃまにでも、すんなりと楽しめたのがこの『おんな太閤記』。
脚本がアノ方だけにホームドラマ大河と揶揄される系統の筆頭に挙げられる向きもありますが、いやいやどうして、昨今の超ヌル~い作品群に慣れきった目からすると、シリアスかつヘビーな展開の連続に改めて驚き入ることしきりで… (^_^;)
前半は苦しすぎる若作り(爆)やコミカルシーンの多用などで笑える場面も多々ありましたが、後半は一転してお笑い臭は完全シャットアウトされ、秀吉の怒鳴り声とねねの憂い顔ばかりが印象に残る鬱展開の連続に…。特にあさひ、秀長、鶴松、大政所の連続退場の所はキツかったですね (-_-;)
毎回近親者の死を見送っては後悔し、それでも秀吉の暴走は止まらず、そしてまた後悔…の繰り返し。しかも復活(?)の度に秀吉のエグさが三割増しぐらいになって行くのですから、えげつないことこの上なしで… (~_~;)
しかし、普通なら途中で脱落しても全くおかしくない流れながら、なぜか、その鬱々な後半の方がぐいぐい引き込まれて目が離せなくなってしまったのがこのドラマの不思議な所。
やっぱり前半の若作り(しつこい!)&コミカルシーンはどこか無理に「演じている」っぽい所があって、どうも空々しい感じが拭えなかったのが、後半のシリアス展開になると余計なものが削ぎ落とされて、ズバズバと直球勝負で押しまくって来る感じで、有無を言わせぬその勢いにこちらもねじ伏せられた…といった所でしょうか (^_^;)
それにしても、ねねの敵役という立場上やむを得ないとはいえ、石田三成や大野治長&大蔵卿母子の腹黒さというか身の程知らずぶり(いわゆるKYですね)は凄まじいものがあります。根拠のない自信の上にあぐらをかいて言いたい放題の、やりたい放題の挙句に、さっと梯子を引き落とされてまっ逆さま…。でも、その傲慢さゆえに末路の哀れさもいっそう引き立ったとも言えますが…。
淀殿の描かれ方もヒステリックで高慢な女性というステレオタイプ的な側面だけでなく、於次秀勝(秀吉の養子で実父は信長)との初恋と彼の死では若い娘らしいいじらしさを見せ、紆余曲折を経て秀吉の側室になってからは、絶えずねねと張り合い知らず自らを追い詰め、最後はその虚しさを悟り、生き恥をさらすことよりも誇りある死を選ぶ…。
まあ、通して見れば、世間知らずで実はあまり物事をよく考えない姫が、知ったかぶりの三成や治長らに体よく載せられて流されるままに招いた悲劇…となってしまいますが(汗)、そこに至るまでの変遷も結構丁寧に描かれていて、これが最初だったというのも大きいとは思いますが、このドラマの淀殿像が一番しっくりと来ますね。
それと、あと大河ドラマの醍醐味の一つと言われる合戦シーンについては、せいぜい紙芝居に毛が生えた程度でナレーションのみでスルーなんてのも多々でしたし、あってもほぼオール・スタジオ撮りで迫力ある映像なんて皆無に等しいのですが(汗)、一つ上手い見せ方だなと思ったのが、関ヶ原の合戦。
ねねの甥(実兄の子)に当たる小早川秀秋一人にスポットを当て、彼の心の中でねねや実兄の説得を反芻させながら、裏切りに至るまでの葛藤を緊迫感あるBGM(心臓の鼓動や兵士らの喚声)に載せて描く手法には唸らされましたね。
当時としてはこれでもかなりの費用がかかっていたのでしょうが、昨年のような莫大な予算の大半を合戦のロケに注ぎ込むようなことをしなくても、アイデア次第でいくらでも面白い合戦シーンは撮れるという良いお手本ではないでしょうか。もっとも、私個人はさほど合戦シーンにこだわりのない人間ですので、そう思うだけかもしれませんが… (^^;)
何にせよ、一昔前にはホームドラマと揶揄されていたこれで、このクオリティーの高さ。
昨今の作風の変化を見るに、亜種劣化版の後発2作品(あえてタイトルは挙げません)も、そう遠くない将来、名作と謳われる時代が来るかもしれないと思うと恐ろしい気もしますね。
それはそうと、この『おんな太閤記』は何と来年のお正月に、民放某局の10時間ぶち抜き放送枠でリメイクされるらしいですよ。脚本はあの「ドッカーン」の『義経』と同じ方が新たに担当されるそうで、またどんなトンデモな話になりますことやら… (^^ゞ
いや、脚本よりキャスティングの方が問題でしょうけどね。
男優・女優とも30~40代でがっつり時代物の主役を張れるような人材が全く浮かばないのが一番嘆かわしい…。だいたい30前後が最も適役と思われる篤姫役を20歳過ぎの子に持って行かれている時点で終わっているのでしょうが… (>_<)
『おんな太閤記』は昭和56年(1981)放映とありますので、今から27年前の作品になりますか。
思い返すに、リルタイムで最初から最後まで見た初めての大河ドラマがこれだったと思います。
実際に初めて見たと言えるのは、この二年前の『草燃える』ですが、これは途中から見始めたものでしたし、その翌年の『獅子の時代』は逆に途中で脱落。近代物はお子ちゃまには難易度が高すぎました (^^ゞ
そのお子ちゃまにでも、すんなりと楽しめたのがこの『おんな太閤記』。
脚本がアノ方だけにホームドラマ大河と揶揄される系統の筆頭に挙げられる向きもありますが、いやいやどうして、昨今の超ヌル~い作品群に慣れきった目からすると、シリアスかつヘビーな展開の連続に改めて驚き入ることしきりで… (^_^;)
前半は苦しすぎる若作り(爆)やコミカルシーンの多用などで笑える場面も多々ありましたが、後半は一転してお笑い臭は完全シャットアウトされ、秀吉の怒鳴り声とねねの憂い顔ばかりが印象に残る鬱展開の連続に…。特にあさひ、秀長、鶴松、大政所の連続退場の所はキツかったですね (-_-;)
毎回近親者の死を見送っては後悔し、それでも秀吉の暴走は止まらず、そしてまた後悔…の繰り返し。しかも復活(?)の度に秀吉のエグさが三割増しぐらいになって行くのですから、えげつないことこの上なしで… (~_~;)
しかし、普通なら途中で脱落しても全くおかしくない流れながら、なぜか、その鬱々な後半の方がぐいぐい引き込まれて目が離せなくなってしまったのがこのドラマの不思議な所。
やっぱり前半の若作り(しつこい!)&コミカルシーンはどこか無理に「演じている」っぽい所があって、どうも空々しい感じが拭えなかったのが、後半のシリアス展開になると余計なものが削ぎ落とされて、ズバズバと直球勝負で押しまくって来る感じで、有無を言わせぬその勢いにこちらもねじ伏せられた…といった所でしょうか (^_^;)
それにしても、ねねの敵役という立場上やむを得ないとはいえ、石田三成や大野治長&大蔵卿母子の腹黒さというか身の程知らずぶり(いわゆるKYですね)は凄まじいものがあります。根拠のない自信の上にあぐらをかいて言いたい放題の、やりたい放題の挙句に、さっと梯子を引き落とされてまっ逆さま…。でも、その傲慢さゆえに末路の哀れさもいっそう引き立ったとも言えますが…。
淀殿の描かれ方もヒステリックで高慢な女性というステレオタイプ的な側面だけでなく、於次秀勝(秀吉の養子で実父は信長)との初恋と彼の死では若い娘らしいいじらしさを見せ、紆余曲折を経て秀吉の側室になってからは、絶えずねねと張り合い知らず自らを追い詰め、最後はその虚しさを悟り、生き恥をさらすことよりも誇りある死を選ぶ…。
まあ、通して見れば、世間知らずで実はあまり物事をよく考えない姫が、知ったかぶりの三成や治長らに体よく載せられて流されるままに招いた悲劇…となってしまいますが(汗)、そこに至るまでの変遷も結構丁寧に描かれていて、これが最初だったというのも大きいとは思いますが、このドラマの淀殿像が一番しっくりと来ますね。
それと、あと大河ドラマの醍醐味の一つと言われる合戦シーンについては、せいぜい紙芝居に毛が生えた程度でナレーションのみでスルーなんてのも多々でしたし、あってもほぼオール・スタジオ撮りで迫力ある映像なんて皆無に等しいのですが(汗)、一つ上手い見せ方だなと思ったのが、関ヶ原の合戦。
ねねの甥(実兄の子)に当たる小早川秀秋一人にスポットを当て、彼の心の中でねねや実兄の説得を反芻させながら、裏切りに至るまでの葛藤を緊迫感あるBGM(心臓の鼓動や兵士らの喚声)に載せて描く手法には唸らされましたね。
当時としてはこれでもかなりの費用がかかっていたのでしょうが、昨年のような莫大な予算の大半を合戦のロケに注ぎ込むようなことをしなくても、アイデア次第でいくらでも面白い合戦シーンは撮れるという良いお手本ではないでしょうか。もっとも、私個人はさほど合戦シーンにこだわりのない人間ですので、そう思うだけかもしれませんが… (^^;)
何にせよ、一昔前にはホームドラマと揶揄されていたこれで、このクオリティーの高さ。
昨今の作風の変化を見るに、亜種劣化版の後発2作品(あえてタイトルは挙げません)も、そう遠くない将来、名作と謳われる時代が来るかもしれないと思うと恐ろしい気もしますね。
それはそうと、この『おんな太閤記』は何と来年のお正月に、民放某局の10時間ぶち抜き放送枠でリメイクされるらしいですよ。脚本はあの「ドッカーン」の『義経』と同じ方が新たに担当されるそうで、またどんなトンデモな話になりますことやら… (^^ゞ
いや、脚本よりキャスティングの方が問題でしょうけどね。
男優・女優とも30~40代でがっつり時代物の主役を張れるような人材が全く浮かばないのが一番嘆かわしい…。だいたい30前後が最も適役と思われる篤姫役を20歳過ぎの子に持って行かれている時点で終わっているのでしょうが… (>_<)
by kiratemari
| 2008-05-30 22:58
| テレビ
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