初夏のしまなみへの旅(3)-高縄山

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松山城見物の後は少し趣向を変えて郊外へドライブ。
電車利用であれば本丸の後、二の丸の方へ回って大好きな庭園の散策などに興じ、そこから近い駅に出て次のスポットへ向かうという具合に小回りが利くのですが、こういう時に車がネックというか、駐車場に置いて来ている都合上、必ずそこへ戻らなければならない法則の縛りがあるのですよね。

もっとも松山市内には市電という便利な足もありますので(1回150円、1DAYチケット300円)、それを上手く活用すればいくらでも対処のしようもあるのですが、如何せん、車での移動に慣れきった人間には電車移動は事のほか煩わしいらしく、誘いをかけてもイマイチのってこないので、市内観光はこれ一つで打ち止めにすることに。『坂の上の雲』の放送後であれば、もっとあれこれ興味も沸いて来たのでしょうけどね。少し早すぎました。

で、車で来ている時にこそ行っておきたい場所ということで(電車で行ける所はまたいつか再訪の機会もあると)、セレクトしたのがこの高縄山。昨年の東北旅行での舞草に続く秘境(?)探訪シリーズ・第二弾!でございます(爆)。

伊予と言えば、私の中では一も二もなく「河野水軍」。
源氏の挙兵に呼応して反平家の動きを起こし、壇ノ浦の合戦では150艘の船を率いて義経方に加わり、平家討滅に多大な尽力をしたという平家方には実に憎き敵のような存在ではありますが(汗)、そんな敵キャラにも興味を惹かれてしまうのが歴史バカの悲しい性。せっかくその本拠に近い所までやって来ていて、寄らない手はないよな…といつもの虫が騒ぎ出して今回の訪問と相成ったわけでした (^^;)

その高縄山は松山市の北、今治まで続く高縄半島の中ほどに位置する標高986メートルの山。


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ガイドブックなどにほとんど取り上げられていないため、一般的にはあまり知られていませんが、地元の方にはそこそこ人気のドライブコースらしく、道の跡も生い茂る草に消されかけているような地道を行った舞草の時ほどの秘境感はなく(汗)、道路は概ね一車線ですれ違いが難しい箇所もありましたが、最後まで一応舗装されていました。

松山市内からですと北条市内を経て海側から入るルートと、奥道後温泉を経由するルートと2つあって、何の考えもなしに海側からのルートをとったのですが、これがとんだ選択間違いで…。いずれのルートでも国道から山道へ入って行くことになるのですが、海側のほとんど海抜ゼロに近い平地から上るのと、それまでに徐々に上って来ている山側からのルートでは、明らかに前者の方がキツくなるのは当然のことで、ぐねぐねと曲がりくねった上り坂の連続には運転手もかなり神経を使ったようでした。

そうして山道をかれこれ30分近く走ってようやくたどり着いたのがこちら。

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高縄山の山頂から300mほど手前の所にあるその名も「高縄寺」。
その昔、河野氏が戦勝祈願所として設け、累代の菩提寺にもなっている古刹ですが、一説に、ここが河野氏の居城「高縄城」跡ではないかと見る向きもあります。

「高縄城」という名称は『平家物語』巻六「飛脚到来」、あるいは『源平盛衰記』巻二十六「宇佐公通脚力附伊予国飛脚事」において、養和元年(1181)2月に伊予で河野通信が謀反を起こしたことを知らせる一文の中で「道前道後の境」にある城として登場(『吾妻鏡』では閏2月のこととしています)。

流れとしては、まず通信の父・通清がその前年に伊豆で挙兵した源頼朝の動きに同調して、伊予守・平維盛の目代を攻め滅ぼし伊予国の全権を一旦掌握。が、謀反の報を受けた平家方が大軍を送り込んで制圧を図り、やむなく高縄城に立て籠もった通清は味方の裏切りにも遭い、結局討ち取られることとなります。

これにより河野氏は本拠を失い壊滅的な打撃を受けますが、逃れた通清の子・通信は母方の縁者の庇護を受けつつ徐々に勢力を挽回し、やがて、元暦元年(1184)の一ノ谷と屋島の合戦の狭間の時期に、かつて父通清を討ち取った仇敵・額入道西寂を急襲。生け捕りにした西寂を父の終焉の地である高縄城まで引っ立てて行って、意趣返しに鋸引きにしたとも、磔にしたとも伝えられています。

しかし、そんな血生臭い逸話を残す高縄城も、実際の所は、山頂から高縄寺に至るその周辺にそれらしい城郭の跡は見つかっておらず、未だその場所を特定できていないのが現状。城跡とされているここ高縄寺も、立地条件を考えれば、よくある霊山信仰の一環として、額面どおり祈願所として建てたと受け取った方が妥当のように思われますし、本来の城跡はもう少し麓に近い場所にあったと見る方がより現実的な気もします。

ということで、少々前置きが長くなりましたが、高縄寺の境内へ。


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驚くことにまだ桜が咲いていました。
これが1000m近い標高の差でしょうか。



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全体的にはとっくに盛りは過ぎたという感じでしたが、それでも吹き過ぎる風に堪えてまだまだ多くの花が残っていました。
後一週間、いやせめて3~4日早ければ満開の姿を拝めたのかもしれませんね。


さて、高縄寺から山頂まではさらに300mほど登ることになり、すぐそばまで車で上がることもできるのですが、予想以上の山道を来て少々お疲れ気味の運転手&同行人はしばらく車で仮眠をとるというので、その間に単身歩いて登ってみることに。


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一応車道ですが、さらに道幅が狭くなってそこはかとなく漂ってくる秘境ムード(笑)。
それでも人の行き来は結構あって、途中、お弁当を広げているグループや絵を描いている人達にも行き会いましたけど…。


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およそ15分ほど登ると表れたのがこちらの「高縄大権現」。
背後にコンクリート塀が見えますが、これはNTTの無線中継施設の基礎部分。

一遍に現実に引き戻されるような何とも興ざめな風景ですが、一つだけ利点もありまして、この文明の利器に付随して簡単な見晴台のようなものが設けられているのですが、そこからの眺めが素晴らしいの何のって…。


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春霞で遠くの方はかなりぼやけて写っていますが、実際はもう少しはっきりと見えたのですよ。
山波の向こうに平地、そして海原が広がり、ぽっかり浮かぶ島々…。

見通しの利く時には瀬戸内の向こう側の中国山地まで見えるそうで、城とまでは行かなくても、物見台ぐらいはあったかも?と思わせるロケーション。ここまで息せき切って登って来た甲斐がありました (^.^)v

ただ、この見晴らしの良さゆえに風もまともに当たりがちで、加えて向こう側が丸見えの非常階段仕様なものですから、実はカメラを構えながらもおっかなびっくりで…。高所恐怖症の方はもちろんのこと、そうでない方でも少々腰が引ける所もあるかもしれません (^_^;)







ということで、全くの個人趣味で訪れた高縄山。
ここから下山の後は松山を離れ南へと向かいます~♪



【このページの写真及び動画は平成20年5月3日に撮影したものです】



《メモ》
  高縄寺 【地図】
    愛媛県松山市立岩米之野
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by kiratemari | 2008-05-09 20:51 | ├四国 | Trackback | Comments(2)
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Commented by さくら at 2008-05-26 12:32 x
>手鞠さんへ
こんにちは〜
すばらしい景色ですね〜
空の青さも、木々の新緑も、どれもまぶしいくらいに綺麗〜

最近、時代劇専門チャンネルで「風と雲と虹と」を楽しんでいるので、伊予と言うとついついそちらのイメージが強く、源平時代には思いがおよばなかったウカツ者でした(^^;
良い勉強になりました。
Commented by 手鞠 at 2008-05-26 19:53 x
さくらさん、こんばんは~♪
今回の旅の期間中で一番のお天気がこちらの高縄山でした。
抜けるような青空と本当に眩しいほどの新緑、あとは山上からの見通しさえよければ文句なしでしたが… (^^;)

『風と雲と虹と』、やはりご覧になっているのですね。
主役が将門でよもや見逃されてはいまいと思っていましたが…(^^ゞ
私も毎日録画はしてあるのですが、今は『おんな太閤記』を見るので精一杯なものですから(汗)、そちらが終わってから見始めようと思っています。

伊予の歴史に藤原純友は不可欠ですし、そちらを真っ先に思い浮かべるのが普通だと思いますよ。むしろ河野水軍へと飛んでしまう人間の方がよっぽど変わり者ではないかと… (^_^;)

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