鳥羽の陵めぐり

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鳥羽離宮の夢の跡…に位置する城南宮周辺には、院政期にまつわる史蹟がいくつもありますが、その中からまずは城南宮の西、国道1号線を越えた向こう側にある鳥羽離宮公園。



※位置関係をご覧いただくため先に動画をどうぞ

一見何の変哲もない、まあ「少し広めかな?」と思う程度の公園ですが(汗)、こんもりと木が生い茂った築山は城南宮神苑の「春の山」と対の「秋の山」と見られ、往時には多くの殿舎が有したという鳥羽離宮の中でも、一番最初に建てられた「南殿」のあった場所がここと推測されています。


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築山の上にデーンと鎮座する石碑。
てっきり鳥羽離宮のものと思っていたら、実はコレ、幕末の鳥羽伏見の戦いの発端地を表したものでした。紛らわしいというか、わざわざここに建てなくても… (-_-;)
でもまあ、よく考えてみれば、これが「秋の山」という認識がある人は、その景観を損ねかねない場所にこんなものを建てたりはしませんよね (~_~;)

なお、先ほどの碑は明治建立のものでしたが、築山の下にもこちらは見るからに新しい鳥羽伏見の戦いの石碑がありました。

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さて、再び城南宮へ戻り、そこから北、そして東へと向かい、ちょうど今年1月に開通したばかりの京都高速(正式には阪神高速道路8号京都線)の真下を走る広い道路沿いにひっそりと佇んでいる白河天皇の成菩提院陵。


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白河上皇は生前よりこの鳥羽の地を自らの墓所に定めて三重塔を建立しており、大治4年(1129)7月6日に突如発病し、翌7日に急死すると衣笠山の山麓で荼毘に付され、遺骨は一旦香隆寺に安置されましたが、二年後の天承元年(1131)に三重塔に附属する御堂・成菩提院(じょうぼだいいん)が完成するのを待って、遺言に通りここに改葬されたということです。現在はその三重塔は残っておらず、お馴染みの宮内庁様式の墓所があるのみですが… (^_^;)


ということで、ここからは地下鉄が無償配布している 沿線エリアマップ から 竹田駅周辺をピックアップしたもの(PDF仕様) を用いて回ることに。


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ざっと見て、ほぼ一直線と思われる近衛天皇陵を次に目指すことにしたのですが、その途中に行き会ったのがこちらの「北向山不動院(きたむきざんふどういん)」。



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大治5年(1130)に鳥羽上皇の勅願により鳥羽離宮内に創建され、本尊の不動明王を王城鎮護のために「北向き」に安置したことから、上皇よりその名を賜ったと言い、上皇の誕生日に当たる正月16日には大護摩が修されているそうです。

また、久寿2年(1155)には播磨国大国の庄を寺領として、藤原忠実がこの不動院の中興に当たったともあるのですが、久寿2年というのは近衛天皇が崩御した年に当たり、翌年には保元の乱が勃発…とくれば、これは時期が時期だけに、何がしかの政治的な思惑も当然絡んでいそうで、ちょいと興味を惹かれます (^^;)

さてさて、北向山不動院の前を通り過ぎて、地図に従いさらに真っ直ぐに進んで行ったものの…、肝心の近衛天皇陵がない!
気がつけば近鉄線の線路がすぐそこの所まで来ていて、「あれれ?」と思いもう一度引き返してみたものの、やっぱりない… (-_-;)

おかしいと首をかしげつつ、北側に多宝塔のようなものが聳え建っているのを見て、大方あれが安楽寿院だろうと検討をつけて、とりあえずそちらへ向かうことに。で、その入口のそば近くで労せず見つかった鳥羽天皇の安楽寿院陵。


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鳥羽法皇もまた、白河法皇の先例にならい、この鳥羽の地を墓所を定め生前に三重塔を建立しており、保元元年(1156)7月2日に鳥羽安楽寿院御所において崩御すると、遺詔に従い翌日速やかにそこに葬られたと言います。三重塔は永仁4年(1296)に焼亡し、現在は江戸時代の元治元(1864)年に造営された法華堂が御陵となっています。



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白河法皇・鳥羽法皇院政之地の碑。
鳥羽天皇陵の斜め向かい、安楽寿院の境内のちょうど入り口辺りにあります。



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鳥羽離宮の東殿を保延3年(1137)に寺に改めたのが始まりという安楽寿院は、本御塔(ほんみとう)と呼ばれる三重塔や御堂が建立されるなど法皇の菩提寺とすることを目的に寺にしたようで、当初の予定では本御塔は二基建立され、鳥羽法皇の寵妃・美福門院もここに葬られる予定でした。

しかし、鳥羽法皇の死後に建造された新御塔に納められたのは美福門院の愛息・近衛天皇の遺骨。そして、彼女自身は遠く高野山に納骨されることを強く望み、その遺志を受け継いだ親族の手によりその通りに実行されたようです(高野山の美福門院陵に関する記事はこちらを参照のこと)。


さて、安楽寿院まで来て例の多宝塔に近づいてみると、何と何と!
これが何を隠そう「近衛天皇安楽寿院南陵」だったというオチ… (*_*)


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御陵と言えば毎度お馴染みのあの構えが定型と思い込んでいたもので、これには全く考えが及びませんでした。
要は事前にちゃんと調べておかなかったのが悪いのですが、でも、あの地図の書き方は絶対おかしい! o(`ω´*)o

ところで、この御陵らしからぬ御塔ですが、天皇陵も含め安楽寿院は後年度重なる災禍に遭い、いつしか廃寺のような状態にまで追い込まれていたのを、その後豊臣秀吉・秀頼父子の手により再興され、この禅宗様風を帯びた立派な塔は秀頼の時代に再興されたものだということも付け加えておきます。

また、鳥羽法皇&美福門院の肝煎りで造営された安楽寿院には、多くの荘園が寄進されて「安楽寿院領」が成立。その莫大な資産は美福門院、そして娘の八条院暲子内親王が伝領し、これにより京はおろか日本一の大富豪となった八条院は、やがてその財力を背景に大きな勢力を持つようになり、源平の争乱においても黒幕的な動きが疑われる人物の一人でもあります。

そして、時代は鎌倉へと移り、終生独身を通した八条院の後もまた、安楽寿院領は彼女の猶子らの手を経て亀山上皇へと受け継がれ、遠く南北朝の時代にまで及ぶ長い争いを支える基盤にもなっていた…という流れを見ると、紛争の影には常に「お金」が関わっていることを改めて考えさせられますね (^_^;)





ということで、じっくりと回れば他にも殿舎跡の碑や、少し離れた所になりますが文覚&袈裟にまつわる場所もあるようでしたが、今回はあくまでも「花見」が主目的での訪問でしたので、これはまた別の機会にでも回ってみたいと思います。


さて、お次は再び北上し、桜が素晴らしいアクセントになっているお庭を訪ねます~♪


【このページの写真&動画は平成20年4月9日に撮影したものです】



《メモ》
  安楽寿院 【地図】
   京都市伏見区竹田中内畑町74
   TEL:075-601-4168
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by kiratemari | 2008-04-28 12:44 | ├京都 | Trackback | Comments(0)
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