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早春の尾張・三河の旅 vol.3 義朝終焉の地・野間

c0057946_19511314.jpgここのところ何かとバタバタしていたもので、すっかり遅くなってしまいましたが、旅のレポの続きをば…。

熱田神宮を参拝した後はそのまま南へ向かい知多半島へ。先日訪れたセントレアは素通りして、半島の中程よりやや先端寄りの地点「野間」が次なる訪問地。

尾張国智多郡内海(ちたのこおり・うつみ)…と言えば、ピンと来られる方もいらっしゃいますでしょうか。そう、かの源頼朝や義経の父・源義朝が不慮の死を遂げたというその場所でございます。




 
平治の乱で平家に破れ敗走した源義朝は、竜華越え(大原から近江の堅田へ通じる峠道)をして瀬田~篠原~美濃青墓と抜け、岐阜からは舟で杭瀬川を下り海路により知多半島の内海にたどり着いたとされています。

ここ内海荘の領主は長田庄司忠致(おさだのしょうじただむね)。
彼は義朝の忠臣鎌田正清の妻女の父に当たり、その縁を頼りに東国への逃避行中の義朝一行が立ち寄ったわけですが…。

お供もろくに連れていないあまりの落ち武者ぶりに、忠致と子の景致(かげむね)は源氏の先行きを見限り、この機会に平家に取り入り恩賞をせしめようと、あろうことか義朝を騙し討ちにしてしまいます。それも湯を勧めその油断の隙をついて丸腰の義朝を殺めるという、およそ武士の風上にも置けない卑怯な手段をもって…。

その義朝横死の現場とされる湯殿跡が、知多郡美浜町野間にある古刹「法山寺」境内に残されています。


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これがその湯殿跡だそうで、傍らには義朝の像も。


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あまり武人らしい雰囲気ではないような… (^_^;)
同じ境内には義朝慰霊のための鐘楼もありました。


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また、法山寺の入口手前には、義朝の危急を聞き駆けつけた渋谷金王丸や鷲栖玄光ら郎党が乱戦を繰り広げたとされる橋の跡もありました(今はあたり一面陸地になっていて橋は存在しませんが)。


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ただ、『平治物語』によれば、金王丸は湯殿で義朝の背中を流し、湯帷子を取りに出た隙に刺客が乱入したとなっていますので、駆けつけたというより、主が討たれた後の逃げる際の乱戦と見た方が自然でしょうか。なお、「乱れ橋」の由来にはこれ以外に寺に多くの参詣者が押し寄せ、常に橋板が乱れがちだったという異説もあるようです。


そして、法山寺から西へ1kmほど離れた道の端に立つ大きな看板。


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「長田屋敷跡」とありますが、それらを偲ぶ手掛りは何もなく、ただ白い梅の花が可憐に綻んでいるだけでした。


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それにしても「湯殿跡」と「屋敷跡」。
この二つがやけに離れた場所で少々不審に思ったのですが、先ほどの法山寺、ご本尊が「御湯殿薬師如来」と言いまして、どうやらその昔は霊験あらたかな温泉が湧き出ていたようなのです。それも、義朝横死の後、冷泉になってしまったとかしないとか… (~_~;)

『平治物語』では湯を沸かして義朝に勧めたとあり、さも長田屋敷の内風呂のように書かれていますが、よくよく考えてみれば、今のような沸かし風呂の習慣はまだ定着していなかった時代でしょうから、温泉での湯治を勧めたと見る方が妥当な話のようにも思えます。

『平治物語』自体は後世の産物ですので、執筆された当時の習慣が自ずと反映されてあのようになった可能性もあるでしょうし、また反対にこれらの史跡は後世に定められたもののようですから、法山寺の御湯殿薬師に義朝最期の湯殿をかけて、あえてこの場所に設定したという可能性もあることを忘れてはいけませんが…。


それはさておき、義朝を討ち取った長田父子のその後についても少し見ておきますと、義朝と鎌田正清の首を携え意気揚々と京へ上った忠致は恩賞として壱岐守、子の景致も左衛門尉の官職を賜りましたが、壱岐守などはただ名ばかりの職。忠致は大いに不満を唱え義朝の領地の全てか、せめて尾張一国をと再度所望。

しかし、その余りの図々しさに清盛は怒って恩賞を取り消し、子の重盛に至っては主を騙まし討ちにするという卑劣極まりない行いに対する憤りも相まって、「六条河原に引き出して両の手の指全てを切り落とし、さらに鋸引きにせよ!」とまで命じる有様で、それを知った忠致は慌てふためいて国へ逃げ帰ったというのですから、何ともお粗末な話で… (-_-;)

相手が平家ですらこの扱いですから、これで源氏の世になれば「掘り首か?」「磔(はりつけ)か?」と世間で散々嘲笑されたものの、それから時を経て、義朝の遺児の頼朝が反平家の挙兵に及ぶや、これに馳せ参じかつての不忠を詫び恭順の意を示すと、当の頼朝は案に反して「天下統一の暁には軍功次第で 美濃尾張 を与える」と約束し、これに感激した長田父子はせっせと合戦に勤しみ、いくつもの手柄を挙げたと言います。そうして臨んだ晴れの論功行賞の場で父子を待っていたものは…。

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屋敷跡前の道を挟んで反対側の小高い山の裾にある「長田父子磔(はりつけ)の松」。
傍らにある石碑に刻まれた句によれば…

「ながらえし命ばかりは壱岐守 美濃尾張 をばいまぞたまわり」



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頼朝が与えると言った「ミノオワリ」とは、「美濃尾張」の領地ではなく、何と「身の終わり」であったという洒落にならない寒いオチ。
目には目を、歯には歯を、騙りには騙りを…。
頼朝の陰惨さを強烈にアピールする説話ですが、「あの頼朝ならやりかねないかも…」と思えてしまうのがまた怖ろしくもあり… (~_~;)


ということで、その頼朝ともゆかりの深い史跡がまだ同じ野間にあるのですが、画像が多くなりすぎますので、後ほどページを変えてお送りさせていただきます m(__)m



※動画では磔松~法山寺とこちらでご紹介したのとは逆の順序での構成になっております。


【このページの写真&動画は平成20年2月11日に撮影したものです】



《メモ》
  曇華山 法山寺 〈地図〉
   知多郡美浜町大字野間字田上50

  長田屋敷跡 〈地図〉

  長田父子磔松 〈地図〉
by kiratemari | 2008-02-24 00:01 | ├中部 | Trackback | Comments(2)
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Commented by えりか at 2008-02-26 11:18 x
 手鞠さん、こんにちは♪

 義朝最期の地のご紹介、興味深く読ませていただきました。湯殿でくつろいでいるときに刺客にあうなんて、さすがの義朝も夢にも思わなかったでしょうね…。しかも家臣に裏切られるなんて…。義朝の無念さが伝わってきそうですね。

 そして、義朝を裏切った長田父子のその後も興味深いですね。「えっ頼朝は長田父子を許して恩賞を与えたの?」と読みながら一瞬驚きましたが、やっぱり処刑したのですね。「美濃尾張」は実は「身の終わり」だったなんて、何か因果応報を感じます。確かに、あの執念深い頼朝が自分の父をだまし討ちにした長田父子を許すはずがありませんよね。
Commented by 手鞠 at 2008-02-26 19:38 x
えりかさん、こんばんは~♪
全く頼朝さんはどんだけ策士なのだろうかと… (~_~;)
このエピソードはソースがはっきりしないので、たぶん後世の創作だろうと思いますが、それでも、世間一般的に頼朝はこういう冷血漢のイメージで通っていたことを示しているとも言えるかもしれませんね。
甘い餌でさんざん釣るだけ釣って、最後はドーンと奈落の底まで突き落とすのですから、質が悪すぎ!

しかし、それにまんまと乗ってしまう長田父子の方も、頼朝の人と成りは知らなかったにしても、親子兄弟で殺戮を繰り返して来た源氏の暗黒歴史ぐらいはわかっていたでしょうに、大それたことをやらかしたわりには、随分と平和ボケした人達だったってことでしょうね (^_^;)

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