『風林火山』vol.50「決戦川中島」

とうとう終わっちゃいましたね。
何だかんだ言いながらも、これほど毎週楽しみながら見られたドラマはここ最近ありませんでしたから、まずはキャスト&制作者陣に謝意をば… m(__)m



 
しかし、異例の特例措置による1週延長。
結論から言えば、これは得策ではなかったように思いますね。

単に49回という長いスタンスのものを50回に増やすのならともかく、実質残り2回を3回にするような増やし方でしたから、どうしても間延びの感が拭えず…。ことあるごとに挿入された回想シーンも、恐らく時間調整のためのものでしょうが、その度に流れが止まり、戦場らしい緊迫感が薄れてしまったように感じられて…。

要は、一大決戦を二週に分断することでじっくり描けるメリットよりも、せっかくの勢いを失うデメリットの方が大きかったということでしょうか。昨日の今日ならいざ知らず、一週置いてもう一度同じ位置まで高揚感を押し上げるのは並大抵のことではありませんから…。

ラスト三回の流れを振り返ると、霧が晴れて越後勢の襲来を確認した所を区切りにして、最終回は前半で信繁・諸角の討ち死に、後半に勘助絶命という配分で一気呵成に推し進めた方が、妙な中弛みもせずに済んだのではないかと思えますし、二つのクライマックスの間のクールダウン要素としてなら、回想ももっと生かすことができたようにも…。

そもそもの延長理由の「迫力ある映像がたくさん撮れたから…」という話のわりに、正直「どこが?」と思うほどさして目を見張るようなシーンも見当たりませんでしたし、これは編集の問題もあるでしょうが、政虎を追いかけたはずの勘助が信玄vs政虎の一騎打ちの間はどこにいたのか?とか、政虎を遮る兵はおろか信玄の前に立ちはだかる護衛も一人もいない不自然さ、はたまた兜を薙ぎ払われ落馬した勘助を目視しておきながらいっこうに駆けつけない太吉、極めつけはマシンガン並の集中砲火とそれでもしぶとく起き上がる勘助…。

いくら非日常的な戦場での出来事とはいえ、もうちょっと理に叶う形にはできなかったものでしょうか(少なくとも太吉の「旦那様!」のカットは馬で疾走中に入れて、簡単には追いつけそうにない距離感を出すべき)。

まあ、最後の最後で伝兵衛&太吉コンビが感動的に盛り上げてくれたので、終わり良ければ…という感じに収まりましたが、当初予定になかったことは、そうそうやるものではないという典型的な例ですね。元々の全49回設定での話の切れ目がどこに想定されていたのか知りたいものです。


それにしても、あのラストの締め方から行くと、このドラマのメインテーマは「勘助と葛笠村の愉快な仲間達」だったわけですね。そこから全てが始まり、最終的にまたそこへ戻って行ったと…。ミツやんの声が大ラスに起用されたのも驚きでしたが、しかし、これでは由布姫の立場がないような…。

結局、今回の大河で一番消化不良だったのが、その由布姫と勘助の関係性でしたね。
オリジナルのミツのインパクトがあまりに強烈で、それを払拭することができなかった計算違いももちろんあるでしょうが、それと共に、原作の勘助とオリジナルの勘助のキャラのギャップが最後まで埋め切れなかったことも大きく影響したようにも…。

片や、他国の事情に触れるために狂言回し的な役回りも付加して、時にスーパーマン化もしつつ(爆)、持ち前の度胸とハッタリで並み居る大名とやりあうオリジナル仕様で仕立てながら、こと由布姫に関してはあくまでも原作そのままの老いぼれ設定を持ち込んだだけ。しかし、いくら由布姫の前で老けに作っても、トータルで見れば前者の稀代の軍師としての比重の方が断然高いわけですから、それで体よく老いぼれに見える方がむしろ不思議な話。そのため対由布姫のシーンではどうしても「いかにも演じてます」というふうに映って、そこだけ浮き上がったような印象を与えてしまうのですよね。

そうでなくても、老境に差し掛かった男が、自分の年の半分以下の年若いお姫様に岡惚れして献身的に尽くすという心理状態そのものが理解し辛いところに、二つの異なるキャラが時と場合によって目まぐるしく入れ替わるのですから、混乱することこの上なし。せめてオリジナル仕様の勘助には、それに見合った由布姫との関わり方というものも新たに打ち出す必要があったのではないかと思います。

ところで、思いがけないミツやんの再登場に、ふと彼女繋がりで今やっている朝ドラのビーコ×草若師匠のコンビが、ちょうど由布姫×勘助の年齢設定と類似していると気づいたのですが、考えてみれば亡き愛妻の面影をビーコの中に垣間見て「どうにかしてやらなくては!」という気になった所(そればかりではありませんが)も似通っているようですし、ならばと、この二人を由布姫と勘助にそっくり置き換えて見た所…、これが意外にもしっくりと来るように思えるのですよね。

あれで草若師匠も中々の男っぷりですし、年の差を差し引いてもまだまだ恋愛対象としても十分行けそうな所がまた妙にリアルで…。根本は師弟愛でしょうが、それに時折そこはかとない艶っぽさのようなものが加味される所など、原作が意図した由布姫×勘助の関係に上手くそぐうような気もしますし…。

そこからすると、由布姫話は避けて通れない『風林火山』の勘助としては、内野氏はやはり少し若すぎたのでしょうね。元々テレビでの露出もそう多くはない上に、こなして来た役柄も独身やそれに近いものばかりでしたから、先入観でまず若さが先に立ってしまうのは如何ともし難く…。絶命直後の勘助回顧集で一気に変遷をたどれば、外見上の老け具合は一目瞭然なのですけど、そういう所はあのように並べて見て初めて実感できるもので、リアルタイムでは内面の成長速度の遅さも相まってさほどはっきりとした差も認められず…。

そもそも初登場時から既に実年齢を上回っていたことも考え合わせると、あと10年ぐらい先の方が、より原作に近い勘助を作り出せたかもしれませんね。ただ、その頃には体力的に今回ほどハードな役どころをこなせるか微妙ですし、そうなると異彩を放った軍師部分での輝きも失せ、ドラマとしての面白味自体が激減する可能性も大…。

何だかんだ講釈を垂れつつも、今大河で最も引き付けられた魅力にこだわると、「結局これで良かった」という結論に落ち着くのでしょうね (^_^;)
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by kiratemari | 2007-12-19 20:14 | テレビ | Trackback | Comments(4)
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Commented by 鹿苑 at 2007-12-20 01:34 x
 合戦シーンが思ったよりショボかった、というのが最終回の全般的な感想でした。唯一「おっ、良いな」と思ったのは、真田勢が援軍として到着して、勘助が勝利を確信するところ。その他は、どうも絵に迫力が無くって。場の空間設計が……。脚本に演出が追いついてない感じ?
 昼の野戦を撮るのは、予算的にも場所的にも難易度が高くなるのでしょうねー。城攻めや夜戦シーンはもう少し良かったよーな気が。これだったら、川中島の野戦シーンをもっと圧縮するべきだったかもしれません。

 とはいえ、全般的に面白い大河ドラマだったと思います。一年間充分に楽しませていただきました。
Commented by さくら at 2007-12-20 18:40 x
>手鞠さんへ
こんばんは〜
あの最終回を手鞠さんならどうご覧になられたかしら?と思っていたのですが、やはり思われるところは同じだったのですね。
1話増えたというから期待していたのですが、回想シーンで水増しぃ〜!?(@□@;
と思ったもので…
これなら、その後をナレーションで流すより、もうちょっと味付けしてほしかったなぁと思いました。
でも、やはり毎週とても楽しみにしていたドラマだったので、終了してしまうのが寂しいくらい面白かったです。
思わず泣きながら見てしまう回も少なくありませんでした。
Commented by 手鞠 at 2007-12-20 18:54 x
鹿苑さん、お久しぶりです。
確かに前宣伝のわりに合戦シーンのショボさが目に付きましたね。
どうもロケ地選びで失敗したような…。

あんなにだだっ広い平原では、エキストラが何千人いてもスカスカ感は免れないでしょうし、合戦というより、ただ駆け回っているだけのように見えて、あまり緊迫感とか感じられませんでした。予算不足の影響ももちろんあるでしょうが、林や森で部分的に視覚を遮るなどの工夫の余地もあったのではないかと…。

私などはあまり合戦シーンにこだわる方ではないので、大幅圧縮でも全然構わなかったのですが(その分、中身の濃い演技を見たい)、それでは往年のファンを納得させられないのでしょうね。
でも、総じて私も『風林火山』には楽しませてもらいました。
来年・再来年の雲行きがあまり芳しくないだけに、しっかり味わい尽くしておかないと後で後悔しそうで… (^_^;)
Commented by 手鞠 at 2007-12-20 19:11 x
さくらさん、こんばんは~♪
本当にねえ…。
回想で水増しって、CMで水増しの民放ドラマの最終回延長SPじゃないんですから(爆)。
すぐあとに総集編も控えていることですし、回想は極力なしで、せいぜい90分拡大版くらいに収めるのが妥当だったのではないかと…。

それでもラスト2回とも、とても人様に顔向けができないほど号泣してしまいましたし(汗)、一年を通してこれだけ毎週見入った大河ドラマも近年ではありませんでしたから、終わってしまって残念かつ脱力…。
明らかに『義経』の時とは違うのがまた何ともはや… (^_^;)

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