初夏の初瀬へ(2)~室生寺
先週末中にケリをつけるつもりでいたのですが、何やかんやで一週間…(^_^;)
実際に訪れた日からは二週間も経って、何だか今さら…の感もありますが、一応ケジメの意味でも記事をアップしておくことにします。
さて、前回は長谷寺のボタンでしたが、お次に参りますのは…。
宀一山「室生寺」(「宀一」=「べんいち」は「室生」の略字とも)
真言宗室生寺派大本山の寺院で、本尊は釈迦如来。
創建は奈良時代末期の宝亀年間(770年-781年)と見られ、当時の皇太子・山部親王(のちの桓武天皇)の病平癒の祈願をこの地で行ったのが始まりと伝えられています。
女人禁制の高野山の向こうを張って、古来、女性にも広く門戸を開いて来たことから「女人高野」の称で名高く、また、境内には約3000株のシャクナゲの花が植えられていることから、別名「シャクナゲ寺」とも呼ばれる古刹です。
長谷寺から電車で二駅+バス、又は車で30分ほどの近距離ということもあって、元々この二つをハシゴするのは定番コースですが、特にボタンとシャクナゲの見頃が重なるゴールデン・ウィーク中には直通の臨時バスも運行され、いっそう両者の行き来は盛んになります。
まずは赤鬼さんと青鬼さんのお出迎え。
彩色された仁王像ってあまり見たことがなかったので、ちょっと違和感が… (^^;)
(画像をクリックすると拡大表示できます)
境内を彩るシャクナゲは花びらがオーソドックスな白・ピンク系のものがほとんどで、宇治の三室戸寺にあったような真紅の花にはついぞお目にかかれず…。一番下の写真のように、蕾はどれもかなり濃い目のピンクなのですが、花が開くと徐々に白っぽくなるみたいです。
(画像クリックで拡大表示可)
シャクナゲの植え込みの向こうに建つのが本堂(灌頂堂)。
左奥に小さく見えているのが五重塔です。
午後に入って雲が出て来て辺りが暗くなったせいもあるでしょうが、何か今ひとつ物足りない印象だったのが、通りがかったお寺の方のお話で納得。今年は4月後半の天候不順がたたってか、例年に比べどうも花の付きが悪いのだとか。元々そんな派手な花ではないとはいえ、本来はもっと華やかなのでしょうね。
さて、本堂を過ぎるとデーンと室生寺のシンボル、「五重塔」が鎮座しております。
日本一小さな五重塔だそうで、観光雑誌などでも超おなじみの有名スポット。
よって、人の波が途絶えることは皆無、まともな写真など望むべくもなく…(-_-;)
頭の部分に余計なものも写ってますが、まだこっちの方がマシでしょうか?
ところで、この五重塔は、平成10年9月22日の台風7号の猛威によって倒れた杉の大木が覆い被さり、甚大な損傷を受けましたが、その倒木の跡と思われる切り株がこちら。
平成12年9月に修復工事が完了し、新しい檜皮が葺かれ、以前にも増して優美な姿を取り戻しましたが、しかし、杉の大木が林立する立地条件は相変わらずですので、いつまた「悪夢再び」となる恐れも…。とはいえ、この杉木立をバックにしてこそ塔も映えようというものですから、これも止むを得ないでしょうね。
さて、ここから先、さらに急な石段を登って行くと「奥の院」になりますが、実は午前中の長谷寺で軽い熱中症にかかったものか、移動の車中から頭痛がして来てどうも気分が優れず、室生寺の拝観前に昼食をとった際にも、ろくに喉を通らない状態になりまして、とりあえず鎮痛剤を飲んで、頭痛が治まって来るに従い元気も回復しては来ていたのですが、ここは無理せず断念することにしました。
そして、こちらは五重塔前の石段の脇にあった北畠親房の墓。
北畠親房は南北朝時代の公家で、南朝方につき『神皇正統記』の著者と目される人物ですが、その昔、この辺りは親房の支配地だったとかで、かなり古い時代から親房の五輪塔(下の写真の右端)と言い伝えられているようです。
が、これといった確証はなく、あくまで伝承ということで…(同じ奈良県内の五條市にも親房の墓と称されるものがあるようですし)。
最後にシャクナゲをもう一枚。こうして池をバックにすると蓮の花みたい?
(上の2枚は画像クリックで拡大表示可)
新緑に桜(?)と思えば、一方では紅葉?
いろんなものが一遍に楽しめるのはいいのですが、何か変でない? (?_?)
ということで、どの写真も他人様がこれでもかと写り込んでいたもので、あまりこちらに載せることはできませんでしたが、全体的な印象としては、ボタンも含めた長谷寺の自己主張の強さの後では、いっそう素朴で慎ましやかな風情が際立ったという感じですね。「花」抜きなら、私は野趣あふれる室生寺の方に惹かれるかな?
ところで、もう一つおまけ。
室生寺からもう少し東(山側)へ行くと(約1km)、「龍穴神社」なるものがあります。
今でこそ室生寺の方が有名ですが、歴史はこちらの方が古く、その昔は室生寺もこの龍穴神社の神宮寺という位置づけだったのだとか。
この山の奥に龍王が住むという龍穴があり、それを祀る龍王社として、今でも雨乞いの祈祷が行われることもあるそうです。
杉の巨木に抱かれるように建つ拝殿。
しかし、室生寺の人出の多さに比べ、こちらは… (-_-;)
この静けさがまた良いのですが、でも、何かもったいない!
拝殿の裏手にある本殿(いずれも画像をクリックすると拡大表示可)。
室生寺から若干離れているので、致し方のない所ではありますが、せっかく室生寺まで来たなら、ここも見ておきたいスポットですね。
特にお車でお越しの向きには是非こちらもお立ち寄りいただきたく… m(__)m
☆Back → 初夏の初瀬へ(1)~長谷寺
実際に訪れた日からは二週間も経って、何だか今さら…の感もありますが、一応ケジメの意味でも記事をアップしておくことにします。
さて、前回は長谷寺のボタンでしたが、お次に参りますのは…。
宀一山「室生寺」(「宀一」=「べんいち」は「室生」の略字とも)
真言宗室生寺派大本山の寺院で、本尊は釈迦如来。
創建は奈良時代末期の宝亀年間(770年-781年)と見られ、当時の皇太子・山部親王(のちの桓武天皇)の病平癒の祈願をこの地で行ったのが始まりと伝えられています。
女人禁制の高野山の向こうを張って、古来、女性にも広く門戸を開いて来たことから「女人高野」の称で名高く、また、境内には約3000株のシャクナゲの花が植えられていることから、別名「シャクナゲ寺」とも呼ばれる古刹です。
長谷寺から電車で二駅+バス、又は車で30分ほどの近距離ということもあって、元々この二つをハシゴするのは定番コースですが、特にボタンとシャクナゲの見頃が重なるゴールデン・ウィーク中には直通の臨時バスも運行され、いっそう両者の行き来は盛んになります。
まずは赤鬼さんと青鬼さんのお出迎え。
彩色された仁王像ってあまり見たことがなかったので、ちょっと違和感が… (^^;)
(画像をクリックすると拡大表示できます)
境内を彩るシャクナゲは花びらがオーソドックスな白・ピンク系のものがほとんどで、宇治の三室戸寺にあったような真紅の花にはついぞお目にかかれず…。一番下の写真のように、蕾はどれもかなり濃い目のピンクなのですが、花が開くと徐々に白っぽくなるみたいです。
シャクナゲの植え込みの向こうに建つのが本堂(灌頂堂)。
左奥に小さく見えているのが五重塔です。
午後に入って雲が出て来て辺りが暗くなったせいもあるでしょうが、何か今ひとつ物足りない印象だったのが、通りがかったお寺の方のお話で納得。今年は4月後半の天候不順がたたってか、例年に比べどうも花の付きが悪いのだとか。元々そんな派手な花ではないとはいえ、本来はもっと華やかなのでしょうね。
さて、本堂を過ぎるとデーンと室生寺のシンボル、「五重塔」が鎮座しております。
日本一小さな五重塔だそうで、観光雑誌などでも超おなじみの有名スポット。
よって、人の波が途絶えることは皆無、まともな写真など望むべくもなく…(-_-;)
頭の部分に余計なものも写ってますが、まだこっちの方がマシでしょうか?
ところで、この五重塔は、平成10年9月22日の台風7号の猛威によって倒れた杉の大木が覆い被さり、甚大な損傷を受けましたが、その倒木の跡と思われる切り株がこちら。
平成12年9月に修復工事が完了し、新しい檜皮が葺かれ、以前にも増して優美な姿を取り戻しましたが、しかし、杉の大木が林立する立地条件は相変わらずですので、いつまた「悪夢再び」となる恐れも…。とはいえ、この杉木立をバックにしてこそ塔も映えようというものですから、これも止むを得ないでしょうね。
さて、ここから先、さらに急な石段を登って行くと「奥の院」になりますが、実は午前中の長谷寺で軽い熱中症にかかったものか、移動の車中から頭痛がして来てどうも気分が優れず、室生寺の拝観前に昼食をとった際にも、ろくに喉を通らない状態になりまして、とりあえず鎮痛剤を飲んで、頭痛が治まって来るに従い元気も回復しては来ていたのですが、ここは無理せず断念することにしました。
そして、こちらは五重塔前の石段の脇にあった北畠親房の墓。
北畠親房は南北朝時代の公家で、南朝方につき『神皇正統記』の著者と目される人物ですが、その昔、この辺りは親房の支配地だったとかで、かなり古い時代から親房の五輪塔(下の写真の右端)と言い伝えられているようです。
が、これといった確証はなく、あくまで伝承ということで…(同じ奈良県内の五條市にも親房の墓と称されるものがあるようですし)。
最後にシャクナゲをもう一枚。こうして池をバックにすると蓮の花みたい?
(上の2枚は画像クリックで拡大表示可)
新緑に桜(?)と思えば、一方では紅葉?
いろんなものが一遍に楽しめるのはいいのですが、何か変でない? (?_?)
ということで、どの写真も他人様がこれでもかと写り込んでいたもので、あまりこちらに載せることはできませんでしたが、全体的な印象としては、ボタンも含めた長谷寺の自己主張の強さの後では、いっそう素朴で慎ましやかな風情が際立ったという感じですね。「花」抜きなら、私は野趣あふれる室生寺の方に惹かれるかな?
ところで、もう一つおまけ。
室生寺からもう少し東(山側)へ行くと(約1km)、「龍穴神社」なるものがあります。
今でこそ室生寺の方が有名ですが、歴史はこちらの方が古く、その昔は室生寺もこの龍穴神社の神宮寺という位置づけだったのだとか。
この山の奥に龍王が住むという龍穴があり、それを祀る龍王社として、今でも雨乞いの祈祷が行われることもあるそうです。
杉の巨木に抱かれるように建つ拝殿。
しかし、室生寺の人出の多さに比べ、こちらは… (-_-;)
この静けさがまた良いのですが、でも、何かもったいない!
拝殿の裏手にある本殿(いずれも画像をクリックすると拡大表示可)。
室生寺から若干離れているので、致し方のない所ではありますが、せっかく室生寺まで来たなら、ここも見ておきたいスポットですね。
特にお車でお越しの向きには是非こちらもお立ち寄りいただきたく… m(__)m
【このページの写真は平成19年5月4日に撮影したものです】
☆Back → 初夏の初瀬へ(1)~長谷寺
by kiratemari
| 2007-05-18 19:50
|
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|
Comments(2)
長谷寺も室生寺もえらい混みっぷりで・・・お疲れ様でした(^^;
それにしても、ゴールデンウィークでも閑散としている龍穴神社は哀愁を誘いますね(/_;)
それにしても、ゴールデンウィークでも閑散としている龍穴神社は哀愁を誘いますね(/_;)
0
sanraku2さん、こんばんは~♪
さすがにゴールデン・ウィークが花の最盛期と重なると、この混雑はどうしようもないですね。ただ、長谷寺の方は朝7時ぐらいから開いているらしいので、早朝攻撃に出れば、まだ大分マシだと思うのですが…。
その点、龍穴神社はいつ行っても大丈夫ですね(汗)。
まあ、変に大挙して押し寄せられても、かえって龍神様がビックリなさりそうですが… (^^;)
さすがにゴールデン・ウィークが花の最盛期と重なると、この混雑はどうしようもないですね。ただ、長谷寺の方は朝7時ぐらいから開いているらしいので、早朝攻撃に出れば、まだ大分マシだと思うのですが…。
その点、龍穴神社はいつ行っても大丈夫ですね(汗)。
まあ、変に大挙して押し寄せられても、かえって龍神様がビックリなさりそうですが… (^^;)
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