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初夏の初瀬へ(1)~長谷寺

このところ京都めぐりが続いておりましたが、ゴールデンウィーク中のお出掛け第2弾は「奈良」。ただし、この日は同行者付きだったため、史跡めぐりは二の次。
一番のお目当ては、何と言っても我が愛しの君・重衡殿ゆかりの「あの花」でございます (*^^)v

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西国三十三観音霊場 第八番札所
真言宗豊山派の総本山の寺院で、正式名称は「豊山神楽院長谷寺」
(ボタンの開花情報なども見られる 公式ページはこちら


初瀬山(はつせやま・はせやま)の中腹にあるので「はせ寺」。
万葉時代には「泊瀬」「泊湍」とも表記され、『源氏物語』などを見ると「泊瀬詣で」とありますよね。

現在使われている「長谷」は、この辺りの地形が渓谷になっており、「泊瀬」にかかる枕詞のように「ながたにの」がよく使われたことから、いつしか「長谷」という文字自体が「はつせ」「はせ」と読まれるようなったとのことです。

創建は奈良時代の8世紀前半と推定され、史料等の確実な裏付けはないものの、朱鳥元年(686)に天武天皇の病平癒祈願のためにまず三重塔が建立され、神亀4年(727)に本尊の十一面観音像を祀って開山したとの寺伝があるようで、古くは東大寺(華厳宗)の末寺でしたが、平安時代中期に興福寺(法相宗)の末寺となり、さらに戦国時代の天正16年(1588)頃からは真言宗と変遷を遂げ、現在に至っているようです。


ということで、前置きはこれぐらいにして、とっとと参りましょう!

草餅や地物の野菜、乾物や佃煮など様々な露店が並ぶ参道を抜け、最初の写真の入口へ。さすがに連休真っ只中ですから、人の多さは言うまでもなく…(時間も10時と普通に人が集まりやすい時間帯でしたし)。

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厳しい佇まいの仁王門を抜けるとすぐに長谷寺名物の登廊ですが、いやはや人・人・人の数珠繋ぎ…(~_~;)

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何しろこの回廊の右手が一大ボタン園になっているのですから、これで渋滞しないわけがありません。

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この日は朝からまずまずのお天気で気温もグングンと上昇。
屋根付きの登廊のおかげで人様はそれなりに暑さをしのげますが、庇も何もなく強い日差しをまともに受ける花々は、萎れるまでは行かないまでも、元気のないものが結構目に付きました。

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ところで、長谷寺の登廊は途中で二度折れ曲がっていまして、その二度目の曲がり角の傍らに「紀貫之故里の梅」なるものがあります。

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「人はいさ 心も知らず故里の 花ぞ昔の香ににほひける」
『古今集』『百人一首』でお馴染みのこの歌は、実は泊瀬詣での折に詠まれた歌だったのですね。


そして、399段ある登廊を上りきると本堂に到着。

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奈良時代の創建以降、幾度も焼失・再建を繰り返し、現在あるのは江戸時代前期に徳川三代将軍家光の寄進により再建されたものになります。前面に清水寺のような舞台がせり出し、眼下には新緑に覆われた境内が広がっていましたが、4月始めにはこれが桜色の雲海となり、想像するだに見事なものでしょうね。

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その本堂の裏手には、まだ蕾の固い遅咲きのボタンたちが鉢植えの状態でずらり…。あたかも出番を待っているかのように整然と並んでいました。

初夏の初瀬へ(1)~長谷寺_c0057946_185527.jpg初夏の初瀬へ(1)~長谷寺_c0057946_18552036.jpg



ということで、山腹に建つ長谷寺の中で最も高い場所にある本堂まで来ると下る道は左右に二つ(境内図)。

本堂に向かって左の「西の丘」と呼ばれる側には「五重塔」を始め建築物が多く、右側の東参道はそうした見どころは少ないながらも「玉鬘の大銀杏」や「俊成碑」「定家塚」など古典好きの心をくすぐるものがあり、どちらを行くか大いに悩む所でしたが(もう一度登れば両方行けるのですが…)、今回は同行者もいることから、オーソドックスな左側ルートをとることに。

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一切経蔵。この写真だけ秋近しの風情?



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本長谷寺。
天武天皇の病気平癒の祈願のために三重塔が建立された際に同時に庵も建てられ、これが長谷寺の始まりとされることから、ここを「本長谷寺」と称したようです。



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朱色が鮮やかな五重塔。
その真向かいには慶長年間に豊臣秀頼が再建した「三重塔」があったそうですが、明治9年(1876)に火災で焼失し、その後は再建されることなく、今はただその跡を示す石碑が建つのみです。


長谷寺と言えば何を置いても「ボタン」ですが、その他にも境内には様々な花が植えられていて、盛りを迎えたツツジやシャクナゲも地味ながら観光客の目を楽しませていました。


画像画像
(クリックで拡大表示可)



あと、こちらの竹林では掘り当てられなかった(?)筍たちが、早くも若竹に姿を変えつつあるようでしたよ (^_^;)

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さらにずっと下って行って、本坊前にも品評会よろしく色とりどりの、形も様々な種類のボタンが並び、こちらは庇に覆われている分、どの花も元気で綺麗に咲き揃っていましたね。


画像画像

画像画像

画像画像
(以上6枚ともクリックで拡大表示可)



そして、本坊前からボタンの花越しに本堂をパチリ。
4月始めの頃にはこの緑も桜色になることでしょうね。

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それにしても、この日はとにかく「暑かった!」の一言 (~_~;)
これをご覧いただければ少しはその程も伝わりますでしょうか…(笑)。
(これぞ本家・甲羅干し!)

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さて、こうして一巡りして来たところで、時刻はちょうどお昼時。
一人でなおかつもう少し涼しければ、もう一度登って東参道を回って来るところでしたが、それは叶わず、しかし、だからと言って、よもやこれでお終い…なわけがありませんよね (^_^;)

せっかく車で来ていることですし、電車でも二駅先の近場にある、もう一つの花の名所へと向かうことにします。



【このページの写真は平成19年5月4日に撮影したものです】



☆Next → 初夏の初瀬へ(2)~室生寺



by kiratemari | 2007-05-10 19:15 | Trackback | Comments(4)
Commented by さくら at 2007-05-29 12:30 x
>手鞠さんへ
大変御無沙汰しております。
御無沙汰して分、まとめて拝見させていただきました。
ですが、やはり牡丹の回にコメント書かせていただこうと、前のブログなのにコメント書かせていただきました。
長谷の牡丹は、優美で華麗で素敵ですね。春牡丹も良いですね。
入口のツツジも綺麗です。
また新緑も、日ざしが想像できるほどに鮮やかで。
初夏を思わせるお寺さんの境内も良いですね(*^^*)
色づいたものより、新緑の楓が実は大好きなのです。
奈良の長谷寺には行ったことがないので、行ってみたいなぁ〜と思いました。鎌倉の長谷寺より、随分と広く感じます。

そういえば、最近買って来た「牡丹」の香を、今年の扇子にたきしめてみました。(*^^*)
Commented by 手鞠 at 2007-05-29 20:21 x
さくらさん、こんばんは~♪
書き込み、ありがとうございます。

長谷寺のボタンは、強い日差しにさらされて若干萎れ気味なところもありましたが、それでも大輪のものが多くてやはり見ごたえがありました。新緑の楓は私も好きですよ。それに、この日一番印象に残ったのは、実はボタンでもシャクナゲでもなく、まぶしいほどの新緑の鮮やかさだったりします (^^;

鎌倉の長谷寺は行ったことがないのでわかりませんが、こちらの境内はとにかく縦長で高低差のある広さので、じっくり丁寧に見て回ろうとするとそれなりの時間と体力を要するでしょうね。今回はボタンだけでも精一杯でしたが…(^^;

で「牡丹」の香はいかがでした?
やはり華やかな感じ? それとも男性的な香りとか?(爆)
Commented by さくら at 2007-06-04 12:33 x
>手鞠さんへ
こんにちは〜
牡丹の香は、買ったタイミングから春牡丹なのでしょうが、華やかですが、どこか風薫る…といった清清しい清涼感がありました。
…男性の香としてもなかなか…(*^^*)
Commented by 手鞠 at 2007-06-04 19:45 x
さくらさん、こんばんは~♪
なるほど…。清涼感というのは、確かに男性に通ずるものも… (^^;)
何にせよ、あの大輪の花を思わせる華やかさがないと「牡丹」の意味なしですよね。

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