人形劇『平家物語』vol.1 - 1~6話

さて、先週からCS放送の「時代劇専門チャンネル」で始まった
  『人形歴史スペクタクル・平家物語』。
月~金の毎日2話ずつの放映で昨日までに12話まで見ましたが…、
いや~、恐るべし人形劇!

同じ頭でも角度の加減や細かい仕草で、その心情の変化まで伝わる表現力の豊かさ。1話当たりわずか20分ながら、グッと物語の世界に引き込まれてしまいます。



 
とはいえ、問題点もないわけではありません (^_^;)

まず、この作品はあくまでも吉川英治作『新平家物語』が元になっており、古典の『平家物語』とは微妙に(いや、かなり?)異なっているということ。

歴史を巧みに取り入れながらも、経盛らが清盛の同母兄弟だったり、重盛が時子の実子のように描かれるなど、史実と矛盾する設定が随所に見受けられます。

また、女性名について、池禅尼の俗名が「宗子」ではなく「有子」だったり、待賢門院璋子を「ショウコ」、二代后藤原多子を「タダコ」などと読ませるのも、耳にする度に一瞬「誰?」となってしまいます(一般的には「璋子=タマコ or ショウシ」、「多子=マサルコ or タシ」)。

それと、限られた人数で吹き替えを行っているので、清盛役以外は一話の中で二役・三役と役替りされている方が多く、特に俳優さんの場合、声からすぐにお顔が連想されてしまうので、その辺りもかなり気になりました。

源渡が死んだと思ったら、次のシーンでは佐藤義清(西行)として出て来たり、袈裟御前が死んだ次の回では時子になっていたり… (^_^;)

  【吹き替え担当例】
    風間杜夫 … 清盛
    石橋蓮司 … 文覚、後白河院
    森本レオ  … 源渡、西行、源義朝、麻鳥
    紺野美沙子… 袈裟、時子、今若、仏御前
    寺泉 憲  … 経盛、藤原綾麿、崇徳院、源頼朝



ということで、以下は各話の内容について、今回はとりあえず1~6話までざっと書き記して行きますが、その前に一つお断りしておきますと、私、過去に原作の『新平家物語』は最初の3巻ぐらいまで読んで挫折しておりまして、後は重衡捕縛~斬首の辺りだけは一応読みましたが、その他は未読のままになっております。よって、原作と劇化との違いはあまり詳しく把握できていませんので、そこの所はどうかご了承の程、よろしくお願い申し上げます m(__)m


【第1部・青雲】

第1話-我が父は誰ぞ

忠盛・泰子夫妻の不仲、清盛出生の秘密に、遠藤盛遠の袈裟御前への横恋慕から殺害に至るまで。

忠盛一家がやたらと貧乏所帯に描かれているのは原作によるものです。実際の平家は、西海の海賊達を退治という名の許に次々と傘下に組み入れたりして、かなり富裕の部類に属していたようですが…。



第2話-めぐりあい

袈裟御前を殺めた盛遠の探索を買って出たものの結局盛遠を逃がす清盛。その盛遠は死も覚悟して詫びるため源渡を訪ねるも、渡は盗賊に襲われあえなく死亡。盛遠はこれを機に出家して文覚と名乗ります。

こうした文覚出家秘話は『源平盛衰記』によるものですが、こちらでは源渡が殺害されるくだりはなく、むしろ渡が先に出家を発願し、文覚もそれに追従するという形になっています。

清盛はその後平時信の娘時子と結婚。この時子が重盛の母との設定になっていることからこれが初婚のようです。原作の通りの流れですが、史実では高階基章女が先妻で重盛と基盛(この劇ではスルー)の実母と見られています。

さて、唐突に「鳥獣戯画」の作者として知られる鳥羽僧正死去(保延6年(1140)9月15日)の話が挿入され、その葬儀に参列した日(行きか帰りか定かでない)に雨宿りで入った御堂で源義朝と偶然出会うことに。



第3話-神輿を射落とせ

夜毎不審な行動をとる忠盛を気にかけ、ある日、こっそり後をつけた清盛は、思いがけず父と有子の逢引の場に遭遇。この有子という女性は後の池禅尼(実際の名は藤原宗子)のことで、忠盛は再婚を宣言し清盛もそれを歓迎。
そして、西行の突然の出家、崇徳帝の退位があって、そこから一気に8年が経過。

泣く子も黙る叡山の僧兵の乱入にも清盛は武力を示して追い返し、その功により安芸守に任官しますが、僧兵達はさらに怒りを増幅させ、ついには神輿を担ぎ出す騒動にまで発展。それでもひるまず矢を神輿に打ち込んだ清盛に僧兵らは恐れおののき退散しますが、左大臣頼長は清盛の神をも恐れぬ所業を厳しく咎め安芸守を解任。

清盛の後任の安芸守となり挨拶に出向いて来た義朝に、清盛はむしろ安芸守の要職が藤原氏の手に戻らなくてよかったと喜び、今後も源平が力を合わせ藤原氏の悪政に立ち向かおうと提携を申入れます。

叡山の強訴話は、久安3年(1147)6月の祇園社頭乱闘事件のことだと思われますが、清盛が神輿を射たという史実は確認できず、どうやら『新平家物語』の創作ではないかと…。義朝が安芸守に任官したという話も聞きませんね。それに、妙に気の合う清盛と義朝というのも、若干違和感が…。



第4話-動乱の序曲

養女の多子を近衛天皇の妃として入内させた左大臣頼長と兄の関白忠通の対立が日増しに激化する最中、臨終間際の忠盛は清盛に白河院の落胤である証の扇を差し出しますが、清盛は「忠盛こそ我が父」とそれを焼き捨ててしまいます。

ここは原作では扇は特に焼き捨てられることなく、何処ともなくしまい忘れたということになっていますが、清盛自らが落胤説と決別し、平家の人間として生きる覚悟を決めるという意味で、改変版の方がドラマ性が高くなっているように思います。一方で、忠盛を見舞いたいと経盛に伴われて来た母泰子を、原作では清盛も黙認するところを、あえて徹底拒否して追い返すよう改変した意図はどうもわかりません。

さて、5年後に近衛天皇が夭折し、それが頼長の呪詛のせいとの噂が流れたことから、真偽を確かめるため愛宕山に赴いた清盛は、天狗の目に呪いの釘が打ち込まれているのを発見しますが、頼長が犯人かどうかには半信半疑。案の定、真犯人は信西でしたが、鳥羽法皇は頼長の仕業と信じ込み、頼長の左大臣職を解任。

その後、近衛帝の跡を追うように病を得た鳥羽法皇は危篤に陥り、見舞いに訪れた崇徳院は門前払いされ、ついに面会を果たせぬまま法皇は崩御となります。失意の崇徳院を慰める柳ノ水の守番・麻鳥。

とそこに、頼長が現れ今こそ好機と言葉巧みに崇徳院を謀反計画に引きずり込み、朝廷を二分する対立は頼長&上皇方が圧倒的優位と見られる中、頼長の専制を快く思わない清盛は、不利を承知で天皇方につくことを決断します。

保元の乱に向かう流れは概ね史実どおりですが、やけに頼長が過大評価&腹黒化されていますね。そして、さらにその上を行く信西のあくどさ…。これは、いずれが勝っても地獄…という様相ですね(^_^;)



第5話-骨肉あい食む

平家で清盛と忠正が分裂したように、源氏でも従来からの恩義ゆえに上皇方に加わろうとする父為義に対し、義朝もまた頼長の専制は許しがたいとの思いから天皇方へ。ここで常磐と今若・乙若兄弟が初めて登場します(牛若くんはまだ生まれていませんので)。

かくして、ついに保元の乱が起こり、決戦の場は賀茂川。猛将・鎮西八郎為朝との一騎討ちに挑む重盛を清盛が援護しようとして一気に乱戦に。両者相譲らぬ激闘も、やがて義朝軍が船で押し寄せると上皇方は総崩れになり、趨勢を悟った為義が盾となり防御する間に崇徳院や頼長は逃亡を図ります。

有名な為朝・義朝の夜討ち話はないまま戦闘に突入してしまいましたが(汗)、人形とは思えない動きのリアルさ、迫力は昨年の大河以上ですね。演者の危険とか考えなくていい分、思い切った動きもできますし…。もういっそ、戦闘シーン有りの大河は人形劇もしくはアニメにしては?

さて、勝利を収めた天皇方では、敗者にも温情をもって接するようにとの慈悲深い後白河帝の発言にも、信西は厳罰を強く主張。崇徳院は程なく追っ手に捕えられ、頼長は逃亡中に負った矢傷により死亡します。この他、為義や忠正らも逃亡を図り行方不明で、そんな中、為朝は単身清盛に襲いかかりあえなく捕縛されます。

崇徳院と頼長は一緒に逃げ惑い、いつの間にか負傷していた頼長は、崇徳院があっち向いてこっちを振り返ったら、もう死んでいました (~_~;)  この辺りは史実を知らないと、頼長がどうして死んだのか(死因が)さっぱりわからないでしょうね。



第6話-戦火の果てに

激しい残党狩りの中、忠正は清盛を頼り密かに六波羅へ。為義もまた別れを告げに義朝の許へ。

保元の乱の論功行賞で、昇殿の許しと共に清盛は播磨守、義朝は左馬守に任じられ、その席上、二人は揃って忠正と為義の命乞いを願い出ますが、信西がこれを突っぱねて処刑を厳命。義朝らの苦衷を察し神妙に刑に服した為義に対し、忠正は清盛に悪口雑言の限りを尽くし、ついには清盛の実の父親は忠盛でも白河院でもなく八坂の悪僧と叫んだ所で、清盛自身の手で斬られます。

為朝は伊豆大島へ配流、崇徳院も讃岐へ流されますが、その配所にかつて「月の夜にでもそなたの笛を聞きたい」と声をかけられた麻鳥が訪ね無聊を慰めます。
出家しないまま捕らわれた崇徳院は、結局ここ讃岐でも俗体のままでした(汗)。

その後京に戻った麻鳥は、引き続き水守の小屋に住まっていた所に、僧・文覚に宿を求めれ、麻鳥が医者を志していると知った文覚は知り合いの医者を紹介してやると約束します。

一方、信西の恐怖政治とも言うべき専制に、それを快く思わない信頼と惟方が密かに悪巧み。自分達の陣営に引き込むため、源氏が冷遇されるように仕向けているとか何とか…。早くも平治の乱に向けての動きが。信西といい、信頼・惟方といい、食えない御仁が次から次へと湧いて出てきて…、う~ん、素敵すぎます! (^_^;)



ということで、今回はここまでに。
毎回放映日当日の夜に(風呂上りに)見るようにしているのですが、そのまま即レポまでは時間的に無理なので、一週間ためていざ書こうとしたら、チラホラ頭から抜け落ちてしまっていて…。結局全部見直すことになり、予想以上に時間がかかってしまっています。今後のアップも不定期としか申し上げられませんが、どうぞ気長にお待ちを… m(__)m
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by kiratemari | 2006-08-29 19:38 | テレビ | Trackback | Comments(2)
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Commented by えりか at 2006-08-30 09:33 x
 手鞠さん、こんにちは♪

 人形スペクタクル「平家物語」のご感想、楽しく読ませていただきました。手鞠さんの解説がとてもわかりやすく、CS放送を観られない環境にある私にも内容がよくわかり、十数年前の感動をしっかり思い出すことができました。ありがとうございました。

 確かに、人形劇とは思えないくらい動きが激しく、ストーリーも変化に富んでいて面白かったです。忠正が死のまぎわに清盛に向かって「おまえの父親は八坂の悪僧だ!」と叫ぶところはすさまじかったです。それと、私はこの人形劇を観て文覚さんが好きになりました。文覚さんの登場シーンはこれからも注目だと思います。
 歴史的な矛盾については当時はあまり気になりませんでしたが、今観たら気になってしまうかも…。宗子が有子になっているなど、女性名が変えられているところは特に気になってしまいそうです。

 次回も楽しみにしていますが、記事を書くことの労力と大変さはよーくわかりますので、どうか手鞠さんのご無理のないようにゆっくりやっていって下さいね。
Commented by 手鞠 at 2006-08-30 13:00 x
☆えりかさん、こんにちは~♪
こんなのでおわかりいただけましたでしょうか?
私、どうもあらすじとか書くのは苦手な方なので、感想よりそちらに時間を取られているような次第で…(汗)。

それと、史実との矛盾点が劇オジナルの改変か原作に沿ったものなのか…、そこの所もはっきりとわからないので、どう突っ込めばいいのか躊躇する部分も多いですね。全く、吉川氏も何でまたこういう改変をしたのか…。それとも、執筆当時と今では歴史観が大きく変わってしまっているということなのか…。

文覚さん、いいですね~。こんなにおいしい役回りで良いのでしょうか? 次のレポでご紹介できると思いますが、頼朝との絡みも出て来ますし…。本当、目が離せません!

ご心配いただいている記事作成にかかる労力というのは実はそれほどでもないのですよ。ただ、どうも近頃は集中力が足りない感じで、一度見ただけで覚えきれないのが悩みで…。それと、他のことにすぐ気を取られ、そっちへ行ってしまうと、中々戻って来られないところも…(汗)。まあ、録画DVDは逃げないので、ぼちぼちとマイーペースで進めて参りますね。

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