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『平清盛』vol.11「もののけの涙」

先週は結局飛ばしてしまいどうもすみません。
その分も含め、今週はノベライズの1巻分が終了したことでもあり、第1章の総括的なものにしたいと思いますが、かなり辛口な批判も入りますので、そういうものをお求めでない方はどうぞご遠慮下さいませ m(__)m





とりあえず第11話まで見て来て一番に思うのは、

見せなくてもいいものをはっきりと映し
見せないといけないものを映さない

これに尽きますね。


直近の第11話で例を挙げれば、終盤の明子の死に激昂した清盛が祈祷の僧を足蹴にするところ。錯乱状態の表現の一つとして、その行動自体は完全に否定はしませんが、わざわざ引きの画面でその行為をあからさまに映し出す必要があったものか…。

というのも、ノベライズでは「誰彼かまわずつかみかかった」とあるだけで「蹴り」の動作には全く触れていません。その後、宋剣を抜いて振り回し盛国が取り押さえるくだりはO.A.どおりですが、ノベライズを読んだ時とどうも印象が違うのは、忠盛に清盛の中に流れる白河院の血を思い出させるキーとなるのが、清盛の「もののけのような目」なのですよ。しかし、一連の動きの中で一瞬たりとも清盛の目がクローズアップされることはなく、結果として、僧を足蹴にし宋剣を振り回す暴挙が「もののけの血」と解釈をせざるをえないことに。

念のため、白河院存命中の第1話・2話をざっと見直して見たのですが、清盛の実母舞子を目の前で惨殺させるなど確かに非道な行状はありましたが、璋子の病の祈祷が上手くいかないからと言って僧を足蹴にするようなことはありませんでしたし(今となっては入れておくべきだったか?)、出生の秘密を知った幼い清盛が突入して来た時も「つまみ出せ!」と恫喝しただけ。一番暴力的なもので祇園女御に手を上げたことぐらいでしょうか(ノベライズにはない追加シーンですが)。

自分では手を汚さず、強烈なオーラを纏いながら冷酷に睨みを利かせるだけだった往時の白河院とダブらせて見るにはあまりにも無理のあるシチュエーションで、最後の頼朝のナレーションとも何か噛みあわないものを感じました。

また、足蹴つながりで言えば(どんな繋がりやねん)、第10話の佐藤義清が娘を縁側から蹴落としたシーンについても、実際にソースのある伝承とはいえ、決定的瞬間は見せず、急に目を血走らせた義清のアップ→落ちた後の娘の泣き声で十分だったはずです(ここもノベライズでは「突き飛ばした」となっていましたから)。

つらつら思い返すに、第1話の舞子惨殺にしても矢が突き刺さる瞬間を映し出さずに後姿と効果音だけで表現できたことですし、第6話冒頭の盛康が清盛を庇って射られたところでもしかり(ここもノベライズでは太刀で斬られているのですが)。残虐なシーンをこれみよがしに取り入れたがる傾向がどうも気になります。

こういう言い方をしては何ですが、一度お金を払って席に着いたらよほどのことがない限りエンドロールまで完走してもらえる映画と違い、いつでも出入り自由のテレビドラマでは、嫌悪感を誘発しやすい残虐シーンの描き方については特に細心の注意を払って然るべきこと。何もやるなとは言いません。が、やるならやるで工夫が必要だということです。思わず目を背けたくなるような場面でチャンネルを換えられたら、その何割かはもう二度と戻って来ない可能性が大ですから。そういう意味ではあの眉なし政子さんも初期のマイナス要素として結構大きかったかもしれませんね。


と、まずは演出や編集面に矛先を向けましたが、ここまでの全11話を通して見ればもちろん脚本上の問題点も否めません。

事細かに緻密に構成を練り上げ過ぎたために、却ってその設定が枷となり破綻が生じている例や、あまりにも意欲的に多くの事柄に首を突っ込み過ぎて、挙句がどれも中途半端に終始。本来の尺の二倍ぐらいに膨れ上がった脚本を尺に納まるように切り刻んで説明不足をさらに助長しているような印象も受けます。

とりわけ顕著なのが王家描写への深入りのわりに、肝心の平家パートが海賊討伐以降スカスカで、最愛の妻明子も亡くなるその回で急にクローズアップされて即退場というあっけなさ。鳥羽院&璋子のシーンを初回から延々と毎回お約束のように積み重ねて着た丁寧さとは雲泥の差です。せめて、第10話の義清訪問を第8話の新婚時期に、平家の女三人の合奏を第9話、盛国の結婚話を第10話という具合に、少しずつ分散させるだけでも随分違ったのではないでしょうか。

尺が足りないというのであれば、いっそ思い切って義朝パートは完全にカットでも良かったぐらい。数字対策のための前倒し投入だったのでしょうが、その効果はほとんどなかったような結果になっていますし、序盤はせいぜい子役で清盛と軽く絡ませておいて、東国より凱旋の次回分からがっつり本役投入の方が、話題性に加え、演者の実年齢差を精神年齢差にすり替えることもできて(義朝の成長が早くてあっという間に追い抜いたと脳内補完)両得だったのではないでしょうか。



演出面にしても脚本面にしても、新しい斬新な試みに挑戦することはもちろん大切だと思います。でも、それもちゃんと見てもらって初めて意味を成すこと。数字のことはあまり言いたくはないのですが、現状の視聴率の低迷を見れば、その挑戦が視聴者側に受け入れられているとはとても言い難い惨状。

今後はいよいよ中核となる保元・平治の乱へ向かうということで、これまでに散りばめられて来た伏線が集約されて行く展開上、内容的にはかなり持ち直してくるんじゃないかと少し楽観的な予想もしていますが、まずは普通に見やすい映像、聞き易い音声バランス、このごくごく基本的な二項はいいかげん何とかしていただきたいですね。

どこかの誰かさんが「汚い・暗い」を連発したせいか、近頃は明るすぎてハレーション起こしまくりの映像ばかり見せられて、ホント良い迷惑ですよ (~_~;)
by kiratemari | 2012-03-22 23:43 | テレビ | Trackback | Comments(2)
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Commented by 木耳 at 2012-03-29 16:01 x
はじめまして。花めぐりの記事いつも楽しく拝見しております。
今回は総括ということで、自分も一視聴者として読ませていただきました。
かなり辛口な批判"も"…というより"しか"でしたね。
素朴な疑問なのですが、手鞠さんは今後も視聴をお続けになるのでしょうか。
1話の感想以降、回を重ねるごとに不機嫌になられているご様子なので気になっています。
Commented by 手鞠 at 2012-03-29 22:41 x
木耳さん、初めまして!
コメントありがとうございます。

不機嫌…、そのように見えますか?
いえいえ、視聴そのものは毎回それなりに楽しんでいますし、今後も続けて行くつもりです (^_^;)

ただ、一度目は何の気なしに見られたものが、二度・三度と見直すうちにだんだん粗が目に付いて来て…。この時代が好きが故の因果な性でしょうが、つい苦言の方が先に出てしまうのも悪い癖で、ご不快な思いをさせているようでしたらどうもすみません m(__)m

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