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1300年の都-薬師寺

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さて、遷都1300年祭を間近に控えた奈良の散策もいよいよ最後。
西ノ京まで来てここを外すというのはまずいでしょうね…ということで薬師寺へ。
ただし、今年に関しては少々気をつけておかないといけないことが…。

唐招提寺の金堂の大修理完了と入れ違いに、今度は薬師寺の東塔(国宝)が今年秋より大修理へ突入。現在、その事前調査のため塔全体がすっぽりと覆われた状態になっています。




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3月いっぱいぐらいで一旦この足場は外され、遷都祭期間中は通常の姿に戻るようですが、とりあえずそれより前に訪問される場合はどうぞご注意を。薬師寺の拝観料は京都・奈良の寺社を合わせてもトップクラスの額ですので、下世話な話ですが、ちょっと値段と中身が釣り合わないのでは?という感も否めません。

とはいえ、この大修理も10年後の平成31年度完成予定という非常に長いスパンのものですので、足場の外されている期間中には是非とも訪ねておいていただきたいと思います。

ということで、こんな状態でしたので、1月訪問時は外からこの覆いの写真を撮っただけでスルー。よって以下の写真は昨年9月に撮影したものになります。なお、境内図は こちら をご参照下さいますよう。





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冒頭の写真の南門(重文)をくぐって左右に伸びる回廊とその甍の上に浮かぶ東西の二つの塔。




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回廊の中央に建つ中門。
昭和59年(1984)の再建で、両脇には極彩色の仁王が。




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金の塗りが眩しいエキゾチックな風貌の仁王様です。





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中門をくぐり正面に現れるのは金堂。
昭和51年(1976)に再建されたもので、それ以前は戦国時代に焼け落ちて以降400年近くも仮堂の状態だったとか。再建が軌道に乗る前に最大の後援者だった豊臣家が滅亡したことが大きな痛手だったようです。やはり敵対した陣営だけに徳川家の支援は受けられなかったということでしょうか。

金堂内には国宝の薬師三尊像が安置され、その眩いばかりのお姿には心が洗われるよう。心身の病を取り除くという薬師様のご利益によるものか、ふと心が軽くなったような気がしました。




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本堂に向かって左手側に西塔。
一見、六重塔のようにも見えますが、実は構造的には三重塔で上から1・3・5番目が屋根。そして、それぞれの屋根の下にある一回り小さい小屋根は裳階(もこし)と呼ばれる装飾的なものです。

こちらは昭和56年(1981)に再建されたもので、色彩豊かで華麗な塔。
創建当初の姿はむしろこちらに近かったでしょうね。




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そして、対する東塔。
現在は覆いの中に隠されていて見ることのできないものです。

創建当時より唯一現存する建築物で、1300年もの年月を重ねるうちに柱の丹の塗料は剥げ落ち、連子窓(西塔の緑色の部分と同じ)も白壁に変えられ、いたって質実剛健な佇まいとなりましたが(フェロノサが「凍れる音楽」と表現したとかしないとか)、創建当初は西塔のような華麗な彩色が施されていたと見られています。




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(この画像はクリックで拡大表示可)
しかし、こうして見ると現在の境内では東塔だけがやや浮いた(いや沈んだか?)存在に映りますでしょうか。でも、他の華麗な伽藍群とモノトーンの東塔とのギャップがそのまま1300年の時の今昔を表しているようでもあり、これは中々面白い風景ですよ。



さて、説明が後になってしまいましたが、薬師寺は天武天皇が皇后の鵜野讃良秘皇女(後の持統天皇)の病平癒を祈願して建立を発願したもの。よって、それは平城京遷都より以前のことで、当初は飛鳥の地に建てられました。造営の途中で天武天皇は亡くなり、その後、持統天皇、文武天皇に引き継がれ完成を見ますが、平城京遷都によりさらに現地へ移転という流れをたどっています。





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こちらは境内の東の外れにあります「東院堂」。
養老年間(717~724)に吉備内親王(持統天皇の孫で文武天皇の同母妹)が母元明天皇の冥福を祈り建立したとされるもの。

現在の建物は鎌倉時代の再建ですがこれも国宝。
当初は南向きに再建されていましたが、江戸時代中期に西向きに変えられたとか。




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境内北側の参道には萩の花が植えられていますが、こちらは唐招提寺以上に終わっていて、替りにコムラサキの紫色の実が目を惹いていました。



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北側の入り口にあたる與楽門。
近鉄電車西ノ京駅からですとこちらからの拝観になります。

薬師寺は南北に拝観受付があって、車やバスの場合は南から、電車は北からという具合に分かれ、境内を突っ切ること自体は別に問題はないのですが、例えば北から南へ抜けて一旦境内から外へ出てしまうと非常に大回りをしないと北門側へ戻れないので少し注意が必要。
同じ門側へ戻らないといけない場合は拝観受付より手前で引き返すのが無難です。





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ということで、與楽門を出て少し北へ向かい別院の玄奘三蔵院に。
平成3年(1991)に建立された比較的新しい寺院で、その名のとおり西遊記でお馴染みの三蔵法師玄奘が祀られています。



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玄奘三蔵像と遺骨の一部を祀る玄奘塔は法隆寺夢殿などに似た六角堂。
これをぐるりと取り囲む回廊の北側には、日本画家故平山郁夫氏によって30年をかけて制作されたという「大唐西域壁画」が設えられています。

玄奘三蔵院伽藍は通常は非公開で、例年は年3回の特別公開が実施されていますが、遷都1300年際の今年平成22年度は通年公開とのこと。これも主要伽藍の拝観料に含まれていますのでどうぞお見逃しなく。


ということで、広大な薬師寺の境内は一巡りするだけでも結構な疲労感がありますが、あともう一つ見逃せないスポットへ。





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境内を離れ近鉄電車の線路を越えて西へてくてく歩くことおよそ20分。
大池と呼ばれる大きな池の西岸から薬師寺の方向を望みますと…




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池越しに薬師寺の東西両塔と金堂を一度に眺めることができるお馴染みのアングル。
少々遠いので望遠が必須ですが、ライトアップ時など素晴らしい風景だそうで、できれば足場が取り除かれている期間中に再訪したいものと考えています。


ということで、都合5回に分けてお送りして来ました遷都祭直前!奈良散策レポですが、後もう1回、次回は番外編をお送りしたいと思います。


【このページの写真は平成22年1月24日および平成21年9月27日に撮影したものです】



《メモ》
  薬師寺 【地図】
   奈良市西ノ京町457
   TEL:0742-33-6001
   拝観料… 一般800円、中高生700円、小学生300円、
   拝観時間… 8:30-17:00(受付は16:30まで)
by kiratemari | 2010-02-16 20:14 | ├奈良 | Trackback | Comments(0)

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