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「平家物語の人々」終了

テレビ大阪で毎週日曜日の朝に放映されていた 歴史紀行『平家物語の人々』 が昨日放送分で最終回を迎えましたので、旅の記録にとりかかる前に内容など簡単に書いておきたいと思います。




 
最終的に全13回の放送でした。
予想通りいくつかの章段をピックアップして流すダイジェスト形式で、この13回というのは原典の『平家物語』12巻+灌頂巻に準じてのものでしょうね。といっても、必ずしも1回=1巻というわけでもなく、たまに時系列が前後するものもありましたが。

とりあえず各回のタイトルと主な章段を列記しておきますと

第1回 武士の台頭・貴族のねたみ
     「祇園精舎」「殿上闇討」
第2回 奢る平家・清盛の横暴
     「禿髪」「殿下乗合」「鹿谷」
第3回 清盛の復讐
     「西光被斬」「大納言死去」「足摺」
第4回 頼政の挙兵
     「源氏揃」「信連」「橋合戦」「宮御最期」
第5回 木曾義仲の蜂起
     「都遷」「廻文」「北国下向」「竹生島詣」
第6回 源頼朝蜂起へ
     「早馬」「富士川」「奈良炎上」
第7回 入道死去
     「小教訓」「飈」「無文」「入道死去」
第8回 平家都落ち
     「文覚荒行」「福原院宣」「維盛都落」「忠度都落」「猫間」
第9回 政権交代 その時頼朝は
     「征夷将軍院宣」「生ずきの沙汰」「宇治川先陣」「木曾最期」
第10回 一の谷・屋島の戦い
     「坂落」「敦盛最期」「小宰相身投」「逆櫓」「那須の与一」
第11回 壇ノ浦の戦い
     「鶏合壇浦合戦」「能登殿最期」「知章最期」「内侍所都入」
第12回 平家一門断絶
     「副将被斬」「大臣殿被斬」「重衡被斬」「六代」
第13回 建礼門院
     「女院出家」「大原御幸」「女院死去」「祇園精舎」

  ※前半(巻1~6)の各章段の語り部については こちらを参照のこと


概ね歴史の流れに関わる話中心に組み立てられているので、「祇王」や「小督」のようなサイドストーリー的なエピソードは全カット。正味20分強×13回という短い時間ではそれも止むを得ないでしょうね。

基本的に一人語りの形式ですが、ナレーションの如く普段着姿や和装で椅子に腰掛けて語られる方、装束を身につけて身振り手振りつきで演じられる方、語りと共に別撮りの装束姿での再現ドラマ風が背景に挿入されるものなど多種多様。語り手も総勢60人以上で多ジャンルに渡り、中には数十人の黒子集団を従え、ヘッドマイク付きDJスタイルで実況さながらというのもあり、バラエティーに富んでいるというか、あまりにごった煮すぎで統一性に欠けるようにも… (-_-;)

それとこれだけの大人数が関わっていますので、こういうことを言ってはなんですが、語りのレベルにもいろいろ差があって、物語の世界にぐいぐいと引き込まれて行くような方がいる一方で、申し訳ないですが右耳から左耳へ素通りしてしまうような方も…。全体の統一性とかも考えると少数精鋭の方がよかったのでは?という感想も持ちました。



それはさておき、今回テレビ放映されたものの中で、個人的にベスト1と思ったのは野村萬斎さんの「能登殿最期」(第11回「壇ノ浦の戦い」より)。

「平家物語の人々」終了_c0057946_22281170.jpg

いやあ、もう鎧姿の凛々しいこと!
細いあのお身体に重い鎧を身に着け、八艘跳びばりに跳んだり跳ねたり、槍を振り回したりと体力勝負のパフォーマンス。豪快な武将能登守教経にすっかりなり切って演じておられました。あの目力の強さは半端ないですよ (^_^;)





そして、次点は全くの私の好みということで(汗)、「重衡被斬」(第12回「平家一門断絶」より)

「平家物語の人々」終了_c0057946_22283919.jpg

片岡愛之助さんの重衡、若村麻由美さんの大納言典侍という取り合わせで、お二人とも装束姿が美しくてウットリ。こちらは愛之助さんの語りで大納言典侍のセリフ部分も愛之助さんが語られるのですが、さすがは女形もされる方で、見事な演じ分けぶりでした。特に最後の大納言典侍の絶叫(といってもほんの一声ですが)は凄かった!
もちろんセリフなしでも情感がひしひしと伝わってくる若村さんの表情の巧みさ&演技の素晴らしさは言わずもがなです。


正直言って、萬斎さんも愛之助さんも、役柄とご自身の実年齢を考えるとちょっと厳しいものがあるのではという危惧もあったのですが(萬斎さんは知盛の方が合うんじゃないかとか)、いやいやどうして、しっかり化けてくれてました(爆)。むしろ、このぐらい落ち着きのある年代の方のほうが時代的に合っているのでしょうね。


あとさらに次点で、坂東三津五郎さんの歌舞伎版とは異なる往生際の悪い俊寛(笑)も良かったですよ。

こうして挙げてみるといずれも歌舞伎や狂言の伝統芸能系の方ばかり。これは演じる側もあの独特の言葉遣いに慣れていらっしゃるのと同時に、聞くこちら側も演者さんがそういう話し方をされることに耳慣れているというのが大きいかもしれません。セリフ部分とト書きに当たる部分の緩急がとても自然で、聞いていて耳に心地よく、難しい漢字の言葉でもちゃんと意味を持って伝わって来たりもします。

対して、ああいう言葉に慣れていない層の方だと、極端な話、ひらがなで頭に入って来てそれを脳内で漢字に変換して意味を解釈し直すという作業を無意識のうちにしてしまっているので、語りばかりが先行してこちらは置いてきぼりということも。

たかが語り、されど語り。
普通にドラマに仕立てるより、難しいものかもしれませんね。


さて、テレビ放映が終わってみると、要はDVD販促のプロモートだったということがわかりましたが(爆)、1本21,000円、全13巻262,500円という大名価格。これはいったいどういう客層を狙っているものなのでしょう? (-"-)

まあ、膨大な制作費がかかっているだろうことは理解できますが、個人向けとしてはさすがにちょっと現実的ではない価格設定ですよね。あくまでも学校教材として制作されたものなのですから、ここはNHKあたりが放送資源として権利を買い取って、広く放映してくれないものでしょうかね。
by kiratemari | 2009-09-28 22:28 | テレビ | Trackback | Comments(1)
Commented at 2009-10-16 22:10 x
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