白山長滝神社の蓮

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その蓮の花の名は「中尊寺蓮」。
奥州藤原氏最後の当主、四代目泰衡の首桶の中から見つかった種子から、800年の時を越えて再び華を咲かせたというあの曰く付の蓮ですが、同時に 一昨年の東北旅行 でデジカメデータをぶっ飛ばした忌まわしい記憶を甦らせるものでもあります (^_^;)

いつかは現地を再訪してリベンジをと願う気持ちもありますが、でも同じ再訪するなら春の桜か秋の紅葉か、はたまた毛通寺の菖蒲の美しい頃にという欲も頭をもたげ、中々実現は難しいものと…。

しかし、こと中尊寺蓮に焦点を絞るなら、何も東北までわざわざ出向かなくても、これが案外手近な所で再会できたのですよ。



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ということで、やって参りましたのは岐阜県郡上市にある白山長滝神社。
いやまあ、ここでも十分遠いことは遠いのですが(関西圏外という時点で)、奇遇なことにこちらは ちょうど今年のお正月も過ごした昔馴染みのスキー場 への通り道で、当方の意識の中ではそんなに遠いイメージはないのですよ (^^ゞ



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白山長滝神社は長良川鉄道・越美南線「白山長滝駅」の真ん前が参道入口というアクセスの良さ。ただし、一日に10本以下で昼間は2時間に1本あるかないという超々ローカル路線ですけど(しかも無人駅)。

それはさておき、白山長滝神社は、元は「白山本地中宮長滝寺」と号した神仏習合の寺社でしたが、明治の神仏分離により「長滝白山神社」と「長瀧寺」に分離され、現在は参道向かって左側が「長瀧寺」ゾーン、右側が「長滝白山神社」ゾーンということになっているようです。



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参道の途中にある太鼓橋。
毎年5月5日に行われる360年来の例祭「でででんまつり」の際に、白山長滝神社のご神体を奉じた神輿がこの橋を渡るそうです。



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寺ゾーンの護摩壇跡。
さすがに山の中ですから気温が低いのでしょう、周囲を彩る紫陽花がまだちょうど盛りの美しさでした。



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夏でも涸れることはないという岩清水「延年水」。
万年雪に覆われる白山頂上の千蛇ヶ池に通じているとされ、古くから白山参詣者は薬水としてこの水を重宝したと言います。



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蓮の花の蕾を手にしたカエルが何とも愛らしい!



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なお、この霊水の汲み場は境内の奥まった所にもあり、ちょうど水汲みに来られている方と遭遇しました。
「千蛇ヶ池」というのは呼んで字の如く千匹の毒蛇を封じ込め、万年雪で蓋をしたという伝承の残る池。毒が転じて妙薬となる、どうも天然のマムシの焼酎漬けみたいなものを想像してしまいます (^_^;)



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そして、こちらが神社ゾーンの拝殿。




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自由に中に出入りできますが、屋根が高く、中々迫力のある佇まいです。




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そして、5つの社が並ぶ本殿群。

「白山神社」と名のつく神社は日本各地に多数ありますが、その中心的な神社として「白山三馬場(「ばんば」と読みます)」と呼ばれる三つの信仰拠点があります。「加賀馬場」の「白山寺」、「越前馬場」の「平泉寺」、そして、「美濃馬場」のこちら「長瀧寺」。

加賀の白山神社は鹿谷の変がらみで『平家物語』にも登場しますが、『源平盛衰記』の中には三馬場そろってその名が登場するくだりもあり、倶利伽羅峠へ向かう木曽義仲が北国第一の霊峰「白山」の麓近くを通りかかった折に、白山妙理権現に奉納した戦勝祈願の願文の中に
  一 可奉勤仕 加賀馬場 白山本宮 三十講頭事
  一 可奉勤仕 越前馬場 平泉寺  三十講頭事
  一 可奉勤仕 美濃馬場 長瀧寺  三十講頭事
と記されています(『源平盛衰記』巻29「三箇馬場願書事」)。

『平家物語』ではこの数日後に倶利伽羅峠に程近い八幡宮(埴生護国八幡宮)に進めた願文だけが取り上げられていて、『源平盛衰記』ではその両方ともを収録していますが、同じような内容が続くとクドイからか、『平家物語』の中では白山神社のくだりは割愛されています。






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本殿の裏山の斜面にも紫陽花がたくさん咲いていて、いったい何を見に来たのやら…と思うほど (^^ゞ

ということで、本題の中尊寺蓮ですが、場所は拝殿手前、長滝寺の大講堂の真ん前。
そう大きなものではありませんが、蓮池が広がっています。



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この蓮は本家 中尊寺から平成16年4月に株分けされたものだそうです。
平泉の中尊寺境内にも勧請された白山神社がありますが、藤原三代秀衡は殊のほか白山信仰を厚く崇敬し、加賀・越前・美濃の白山三馬場に仏像などを寄進したという記録が残っているようで、ここから北東へ少し行った所にある石徹白(いとしろ)の大師堂には、秀衡寄進と伝わる重要文化財「銅造虚空蔵菩薩坐像(こくぞうぼさつざぞう)」が現存しているようです(若干この後のルートから外れていたため今回は未訪問)。

あるいは金売り吉次の隊商のルートの一つに、東山道からここを経由して北陸へ抜けるものもあったのかもしれませんね。

何はともあれ、そうした過去の深い関係があったことから、遥か遠く離れた土地ながら縁の蓮を株分けされたのでしょう。




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普通の蓮よりは若干小ぶりの中尊寺蓮。
少々時機が悪かったようで、咲いている花は数えるほどでしたが、それでも、この花にもう一度会えただけでもう感無量!

そして、どうやらこれが今年見る最後の蓮になりそうです。



【このページの写真は平成21年7月20日に撮影したものです】



《メモ》
  白山長滝神社 【地図】
   岐阜県郡上市白鳥町長滝138
   TEL… 0575-85-2663(白山文化博物館)
   境内自由
   瀧宝殿(宝物館)…入館料 300円(白山文化博物館との共通券600円)
            拝観時間:9:00-16:00
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by kiratemari | 2009-08-03 20:33 | ├中部 | Trackback | Comments(0)
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