安楽寿院 特別公開

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本当はもっと前にアップするつもりでちょこちょこ書きかけていたのですが、気がつけば昨日が最終日で… (-_-;)

すっかり旬を逃してしまいましたが、一応備忘記録の意味も込めて簡単にご紹介しておきます。


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毎年冬の恒例行事となっているその名も「京の冬の旅」なるイベントの一環として、複数の通常非公開文化財が期間限定(今年は1/10~3/18)で特別公開されており、第43回を数える今回は鳥羽離宮跡に建つ「安楽寿院」が初公開されるということで、城南宮の枝垂れ梅 とセットで訪ねてみることにしました。

昨年の4月にやはり 城南宮の桜と椿 を見に行った ついでに訪ねて 以来ですが、何に驚いたかって「特別公開」の威力。観光バスで乗り付けた団体さんを含め多くの拝観者で溢れ返っており、いつぞや見た風景とはまるで違う雰囲気でした(たまたま立て込んでいる時間帯だったのかもしれませんが)。



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まずは書院へ上がりお庭拝見。
院政期ゆかりのお寺という印象が強い安楽寿院さんですが、伽藍の大部分は近世以降の再建でこの書院前庭も江戸初期の作庭。

奥の築地塀が低めに作られているのは、かつてはこの向こうに巨椋池(おぐらいけ)が広がり、水辺の風光明媚な佇まいも借景に取り込んでいたからだとか。今はご覧の通りマンションなどが見え隠れして全くその面影は留めておりませんが… (^_^;)



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借景といえば、もう一つ、南西側にその昔は安楽寿院の管理下にあった多宝塔も眺めることができたそうです。しかし、近衛天皇陵として宮内庁の管轄となって安楽寿院の手を離れてからは周囲の木々が伸び放題に放置されたためにすっかり覆い隠されてしまい、今はかろうじて宝輪の先端が垣間見えるぐらい…。



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ちなみに多宝塔の全景はこちらです。


それはさておき、書院内部には幕末の鳥羽伏見の戦いの際、薩摩軍の本営が置かれていた当時の種々の「受け取り証文」などと共に、寺宝の『明月記』断簡が床の間に展示されていました。画像は 安楽寿院HP に掲載されていますのでそちらをご参照のこと。

華やかなりし鳥羽離宮時代の名残りに加え、水運交通の要所ということもあって、鎌倉時代に入ってからもここ鳥羽の津では貴人方の往来が頻繁で、その際の宿所に安楽寿院が宛てられることも多かったようです。藤原定家の『明月記』の中にも「安楽寿院」の名が何度も登場するそうですが、件の断簡は「建仁元年(1201)4月27日に左大臣のお供で鳥羽の院御所に参上し、金剛心院・安楽寿院を見回ってその日は安楽寿院に宿泊。翌28日には院が城南寺へ渡られ、29日には船で水無瀬殿へお供した…」という時のもののようです。


さて、書院の拝観を終えると今度は外へ。
今回の「京の冬の旅」の特別拝観では、随時 京都SKY観光ガイド協会 のガイドさんがついて、その案内に従い順に境内を移動して行く形でした。



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今回非公開だった大師堂。
その理由の一つが、かつて鳥羽離宮跡にいくつもあった寺院が火災や地震等でなくなってしまった後、それぞれのご本尊様などを全部安楽寿院さんで引き取って来たため、現在の本堂には宗派も異なる多種多様な仏様が一緒に安置されていることから「ビックリされても困るから…」などと、半ば冗談めかしておっしゃっていました。



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大師堂の隣に建つ阿弥陀堂と鐘楼。
鐘楼は慶長11年(1606)に豊臣秀頼によって大師堂などが再建される際に一緒に建てられたものですが、今でも当時のままなのは柱と梁のみだとか。釣られている梵鐘ももっと後の時代のもので、現在は年に一度、大晦日の除夜の鐘で撞かれるのみだそうです。

そして、その背後の阿弥陀堂は昭和34年に建立され、つい最近までご本尊で重要文化財にも指定されている阿弥陀如来坐像が安置されていたそうです。しかし、阿弥陀様は近年建てられた収蔵庫へ移られたため、現在は主なき御堂となっています。



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その阿弥陀様が現在おわす収蔵庫「本御塔」。
「本御塔」は今は失われし鳥羽法皇の遺骨を納めた三重塔の称で、法皇の念持仏として作られたと伝えられ、胸の中央に卍を刻むことから「卍阿弥陀」の称も持つ重文「本尊阿弥陀如来坐像(公式ページに写真入り解説あり)」の本来あるべき場所の名がそのまま引き継がれています。

今回はこちらの内部も公開され、件の阿弥陀様はもちろんのこと、同じく重文に指定される「孔雀明王像」や鳥羽院・美福門院・八条院三院の肖像などもガラス越しながら間近で眺めることができました。当然のことながら内部は撮影禁止でしたので、ここでご紹介することはできませんが、よく見覚えのある美福門院像(手近な所で『待賢門院璋子の生涯-椒庭秘抄』P217)の実物を目の前にした時はちょっと不思議な感じがしました。白黒とカラーの違いもあるでしょうが、実物の方が何割増しかでお綺麗に見えたような…(^^ゞ


なお「本御堂」内部はNGでしたが、建物の周りに広がる離宮庭園の石組みの一部を忠実に復元したという庭は撮影OKでした。



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鳥羽離宮跡の発掘調査で出土した各所の庭石を持ち寄っているそうで、それぞれの出土場所を示す立札が建てられているのが面白いです。大部分の石は地元京都の高野川流域産ですが、中には遠く和歌山県産と思われるものもあるとか。あるいは大の熊野詣で好きで知られた鳥羽院のことですから、その旅の途に見初めた石だったりして…? (^_^;)


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ということで、今回の特別公開は残念ながら終了してしまいましたが、あれほど立派な収蔵庫を新造されたわけですから、よもやこれっきりということはありますまい。上手くすればこれを機に春・秋など定期的に一般公開が行われるということも… (・・?



【このページの写真は平成21年2月22日に撮影したものです】


《メモ》
  安楽壽院 【地図】
   京都市伏見区竹田中内畑町74
   TEL:075-601-4168
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by kiratemari | 2009-03-19 22:49 | ├京都 | Trackback | Comments(0)
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