初秋の大原散策vol.6 寂光院

 
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正式名称は清香山玉泉寺寂光院。
推古天皇2年(594)に聖徳太子が父用明天皇の菩提を弔うために建立し、初代住職は太子の乳母・玉照姫(慧善尼)が務めたとされています。なお、ご周知の通り、平成12年(2000)5月9日の不審火による火災により本堂を焼失しましたが、その際に同じく損傷した旧本尊・六万体地蔵尊も聖徳太子作と伝わるものでした。

壇ノ浦の合戦(1185年)で平家が滅亡して後、出家した平清盛の娘・建礼門院徳子がこの地に隠棲し、亡き我が子安徳天皇と平家一門の菩提を弔ったとされ、また、『平家物語』に名高い「大原御幸」の舞台としても広く知られています。

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楓並木の連なる参道の石段。
これこそ紅葉の時期に訪れたいものですが、その時にはこのような写真などとても撮れないでしょうね (-_-;)


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平成17年(2005)6月に再建が成った本堂。
第一印象は「明るくなった!」でしたね。
新造されたご本尊様も色白でとても華やかな感じですので、さらに女性的な雰囲気が増したものと…。


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本堂に向かって右手の書院と本堂を繋ぐ渡り廊下の向こう側(北側)に広がる回遊式四方正面の庭。奥に配された三段の瀧は「玉だれの泉」と称され、異なる高さと角度から流れ落ちる三つの瀧のそれぞれ異なる響きの音色が、あたかも合奏するかのように調和するよう作庭されているのだそうです。


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本堂前に据えられた太閤豊臣秀吉寄進の鉄燈籠。
桃山城にあったものを移したそうで、また、焼失した前本堂も、慶長年間(1596-1615)に淀殿が片桐且元に命じて再建させたものと伝えられるなど、そうした時の権力者の尽力があったればこそ、後世にまで長く存続させることもできたわけなのですよね。


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こちらは本堂に向かって左側(西側)の庭園。
『平家物語』の往時そのままの姿を伝えると言われています。

  庭の若草しげりあひ、青柳糸を乱りつつ、
  池の蘋(うきくさ)浪にただよひ、錦をさらすかとあやまたる。
  中島の松にかかれる藤波の、うら紫にさける色、
  青葉まじりの遅桜、初花よりも珍しく、
  岸のやまぶき咲き乱れ、八重たつ雲のたえまより、
  山郭公(ほととぎす)の一声も、君の御幸を待ちがほなり。
  法皇是を叡覧あって、かうぞおぼしめしつづけける。

  池水に みぎはのさくら散りしきて なみの花こそ さかりなりけり
            ~『平家物語』巻12「大原御幸」より~


心字池、汀の桜、そして「中島の松」と表される「千年の姫小松」。

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樹齢千年と言われるこの名木も、本堂の火災で枝などに火がかかったことから、平成16年についに枯死し、やむなく根本部分を残して上部は伐採され、このような無残な姿となってしまいました。根元部分になおも残る黒々と焼けただれた跡が傷ましいことこの上なし…。

なお、伐採された枯れ木を用い、三面の能面が製作されることになり、今年10月に無事寂光院への奉納も済んだそうで、いずれ一般公開されることもあるかと思います。
当該記事はこちら



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池の端にある「諸行無常の鐘」


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山門手前の石段脇に佇む非公開の茶室「孤雲」の前庭。







寂光院を訪れたのはこれが二度目でした。
一度目は火災に起きる前年でしたので、旧本堂や本尊、建礼門院像や阿波内侍像も拝むことができましたが、それから7年もの間、一度もこの地に足を向けることができなかったのは、ひとえに、すっかり変わり果てた惨状やその残像を目の当たりにする勇気を持てずにいたからに他なりません。

形あるものはいずれ廃れ滅するもの…と、それこそ諸行無常の理の通りで、戦火に焼け落ち再建を繰り返して来た寺社仏閣の例も数多いとはいえ、仮にも平和を標榜する世の中において、明らかな悪意をもって損なわれたことには、深い憤りと悲しみを覚えずにはいられません。

残念ながら今年5月、ついに容疑者を特定できないまま時効を迎えてしまいましたが、たとえ法律で罰せられることはなくとも、その罪は決して消えるものでないと、そこの所はよくよく心して欲しいものと…、そう願ってやみません。


【このページの写真&動画は平成19年10月13日に撮影したものです】



《メモ》
  寂光院 〈地図〉
   京都市左京区大原草生町676
   拝観料… 一般600円、中学生350円、小学生100円
   拝観時間…9:00-17:00
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by kiratemari | 2007-11-01 20:23 | ├京都 | Trackback | Comments(2)
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Commented by なぎ at 2007-11-01 21:29 x
こんばんは。
寂光院にはまだ訪れたことがないので
手鞠さんのお写真と動画、さらに解説で
境内の様子をうかがい知ることができて
嬉しいです。

いつかぜひ訪ねたいと思います。

ご紹介ありがとうございました。
Commented by 手鞠 at 2007-11-02 12:37 x
なぎ様、こんにちは~♪
イメージトレーニング(?)の足しにでもなりましたら幸いにございます(*^_^*)
寂光院さんは、三千院側とはバス停を挟んでほとんど真反対に位置しますので、通しで歩くと30分近くかかるのが難点ですが、でも、その分観光客の足も遠のきがちなので、意外にゆっくりと見られるということも…。ただし「紅葉時期は除く!」ですけど (^_^;)
機会がありましたら、是非お立ち寄りになってみて下さいませ。

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