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人形劇『平家物語』vol.12 - 41~42話

さすがに一大イベント「一ノ谷」だけに、クライマックスまで引っ張る引っ張る… (^^;)



 
【第4部・流転】

第41話-神器はいずこ?

平家追討のため出陣した源氏軍はまず大江山に集結。
法皇が平家に和議の使者を差し向けたとの知らせが入り、総大将の範頼や景時は「平家を油断させ、源氏に勝ちをもたらす」策と好意的に受け取るものの、義経はいささか不審顔。

最優先課題の「三種の神器奪還」のため、義経は範頼が兵2千を率い生田口を攻め、自分は一ノ谷の敵の背後に回り挟み撃ちする策を提案。「平家は一ノ谷の背後の急峻な山々を防御の頼りとしており、その険しさゆえに守りにも油断が生じやすい…」と。

これを聞いて畠山重忠・土肥実平の両将は大いに感服し、「一ノ谷こそ勝敗を左右する戦場」と気勢を上げるものの、すかさず景時は「二人とも範頼軍で生田の平家が敵」とチクリ。が、熊谷直実の「これは上策」の声には景時も急にトーンダウンし、結局、範頼も九郎の策を採用することに。

軍議がまとまった後も、なおも思案顔の義経は弁慶に「法皇の和議の話は、実はそれが(法皇の)本心ではないか」と漏らす。源氏が負けた場合の布石でもあり、要は勝っても負けても法皇には同じことなのだと。
そこへ、畠山重忠と土肥実平が現れ、義経の麾下に加えて欲しいと願い出る。困惑する義経に、二人は「範頼も了承済み」と言って押し切ってしまうものの、当の範頼に不満がないはずはなく、景時も「九郎殿が誘ったに違いない」と焚き付け、両者の溝は深まるばかりで…。

一方、福原の平家方には、範頼の本隊はなお大江山に逗留との報が。
これには、源氏も木曽勢との戦で兵馬が傷つき、すぐに次の合戦に挑むというわけにもいかないのだろうと想像するものの、問題は足取りのつかめない義経軍。それでも「どちらも叩き潰してやる」と息巻く教経に、「源氏を侮ってはあるまじ。船戦に誘い込むのが得策」と慎重論を説く経盛。が、勢いから言っても「流れは我らに!」と教経は譲らず、果ては「ここで海に兵を退けとは、やはり陣抜けされた敦盛殿の父君だけのこと。情けない策」と愚弄する始末で、宗盛がどうにか取り成すものの、経盛の立場はなく…。

その宗盛は陸に仮御所が建ってからも、依然として御座船にとどまる建礼門院に、安徳帝ともども御所へ移るよう請願するも、建礼門院は帝の身の安全を考え、船から下りることを断固拒否。一ノ谷の安全性を懸命に訴える宗盛にも、建礼門院は頑として聞き入れず…。

そうして迎えた2月4日、清盛の命日。
輪田ノ岬では平家一門打ち揃っての法要が営まれ、未だ勘当の身の敦盛も経正と共に末席にて参列。法会の後、生前賑やか好きだった清盛のために「管絃を」との二位尼の言葉を受け、宗盛は建礼門院に琴を、経正に琵琶を、経盛に笛をそれぞれ依頼。が、経盛は老体ゆえ息が続かないと固辞し、代わりに敦盛を推挙。ようやく勘当が解かれた上、家伝来の「青葉の笛」を与えられ涙ぐむ敦盛。二位尼も居並ぶ皆の前で、改めて敦盛の勘当が解けたことを言い聞かせ、一門挙げての管弦供養に。

その頃、大江山の範頼軍はようやく生田に向け発向し、別働隊の義経軍も三草山に到達。予てより平家の陣に間者として送り込んでいた僧兵と落ち合い、帝も三種の神器も御座船に乗ったままであることを知った義経は、窮余の策で「鵯越」を決断。逆落としで平家の陣の中央を突破し、輪田の浜に出て速やかに御座船を押えるという秘策ながら、鵯越は獣しか通わぬという名にし負う難所。しり込みする将らに、義経は「獣が通わば馬とて通えるはず」と叱咤する一方、土肥実平らには兵800を率いてさらに西側の山裾を回って一ノ谷の西門を攻めるよう申し渡し、これより別行動をとることに。

そして、その翌日、法皇の使者が福原の平家の陣に到着。



第42話-和議の使者

生田の平家の陣に法皇の使者が到着。これに応じるのは総大将の宗盛と知盛。
使者は「もし平家に和議の心あるなら、8日中には和議の院宣が改めて下される手筈」と切り出し、さらに「平家の返事を待つ間、源氏勢に兵馬を動かすなと沙汰してある」とも。ただ「院に逆らって勝手に動けば別」と含みも持たせつつ…。

和議の申し入れを受け、平家一門は御座船の中で評定。
「院宣による和議であれば謹んでお受けするより他あるまい」と時忠。
「いいや。まだ院宣ではござらん!」と知盛。
「しかし、院のお言葉なれば院宣と同じ」と宗盛。

三種の神器を何としても取り戻したい法皇の心中を推察しつつ、「この話、信じてよいものか…」と訝る教経、「和議を拒む理由もあるまい」と肯定的な通盛と反応は様々。が、「戦をせずに済むなら、何としても避けたい。幼い帝を危うい目に遭わせたくない」の時子の発言もあって、結局、平家にも和議の用意があることを使者を通じ院へ奏上することに決定。

和議の話は御座船の水夫から雑兵の駄五六、そして、その駄五六の吹聴によって瞬く間に一ノ谷の陣中隈なく知れ渡ることになり、ちょうどそこへ女輿が到来。教経が確認すると通盛の妻・小宰相で、教経は駄五六に通盛の詰める明泉寺まで案内させることに。

驚く通盛に懐妊したことを告げる小宰相。「屋島で別れた時にはまだ半信半疑だったけれども、今はもう間違いのないこととわかり、どうしても知らせずにはいられなかった…」と。それを聞いた通盛は自身にとっても初めての子宝なので大喜び。そこに現れた教経にも喜々としてそのことを告げるも、教経は祝辞を述べつつ「しかし、この戦場の只中へ…」と少し咎めるような口調に。ハッとして「すぐに屋島へ帰すので、ここは大目に…」と取り成す通盛にも、「まあ、和議の話もあることですから…」と、またどこか棘のある物言いで返す教経。

一方、表で通盛と小宰相の熱い語らいをつい盗み聞きし、すっかり里心のついた雑兵の駄五六がこっそり平家の陣から脱走。ところが、慌てすぎて道を間違えたのが運の尽き、山中で迷っていた義経軍と思いがけず遭遇することに。駄五六が近在の者と知った義経は、鵯越への道案内をさせることにするものの、「鵯越を下から眺めたことはあっても、上から見たことは一度もない」ではお話にならず…。

と、そこへ高笑いが聞こえ、年若い猟師姿の男が登場。駄五六や弁慶らを小馬鹿にしつつ、「この山は俺の庭じゃ。目をつぶっても歩けるわ!」と豪語する猟師の無邪気さを気に入った義経は、自ら頭を下げて鵯越への道案内を頼み、そんな義経の姿に感激して喜んで引き受ける猟師。孤児で名前もないと聞き、義経は「鷲尾三郎経春」の名を与え、一行は再び勇んで出立。

かくして、当初の手筈通り7日早暁に無事鵯越到着。
和議と信じる眼下の明泉寺の平家の陣では、兵も将も未だ眠を貪り夢の中…。
ここで駄五六とは別れを告げ、義経軍は三種の神器のある御座船目指し、いよいよ鵯越を敢行することとなります。




ということで、やっとこさ「逆落とし」まで来ましたー \(^o^)/

平家vs源氏に法皇の思惑も絡んで…と一筋縄では行かない合戦までの経緯をなるべく平易に伝えつつ、敦盛や通盛のエピの前振りも入れないといけない…ということで、どうしてもこのくらいの分量にはなってしまうのでしょうね。

しかし、膨大な数の平家武将をほとんどエピ優先で登場させているような所があるので、教経・通盛よりも上位のはずの重衡(41話ではやっと参加)や資盛(2話とも出番なし)が評定に参加していなかったり(維盛は一ノ谷は病欠)、経盛よりもやはり上位の門脇中納言教盛も不在…といったことが、妙に引っ掛かってしまって… ('A`)

特に教盛は完全スルーというわけでもなく、もっと先で登場して来ますので、息子の通盛や教経は出てるだけに「なぜに?」と思ってしまいますが、ここは敦盛関係で経盛の方をクローズ・アップしておきたい意図と、もしかするとこっちの方が現実的かもしれませんが、声優の割り振りが限界点を越えてるからだとか?

実写ドラマと違い、吹き替えは一人が何人も掛け持ちしていて(人件費削減のため)、例えば経盛と重衡と、さらに頼朝も同じ方がなさっているような具合ですから、なるべく一度に登場させる人員は少なくして、同一場面での掛け持ちは極力避けたいとの思惑も見え隠れします。そう思えば、生け捕り間近にもかかわらず、未だ出番の少ない重衡の扱いにも、まあ納得いかなくもないか… (-_-;)

また、それとは少し違いますが、源氏側でも、若輩の畠山重忠はともかく、頼朝旗揚げ時からメンバーの土肥実平よりも熊谷直実の方が重鎮扱いされてるのはちょっと気になりますね。斎藤実盛並の年輩者ならともかく、年齢的には梶原景時と同じくらいの直実の一言で、急にしおらしく黙り込むなんて、「毒づいてナンボの景時さんらしくない!(爆)」とも… (^_^;)

とまあ、重箱の隅を突つくようなツッコミを除けば、概ね『平家物語』のストーリー展開どおりに、欲しい場面も結構入っていますので、そう大きな不満はありません。

ただ、役回り上、これはしょうがない部分もあるでしょうが、教経が貧乏くじを引かされているようなのが少々気の毒なのと(一ノ谷で生き残ってしまいますからね)、時子といい、建礼門院といい、非協力的で合戦モードに水を差すようなキャラの存在に時にイラッとさせられることも…。というのも、ここまでの所、宗盛さんがわりあい良識派に描かれているので、「そりゃ可哀想だろう…」と変に感情移入してしまっている部分もあって…。


ということで、次回はいよいよ一ノ谷の血戦です。
一昨年の大河では見られなかった多くの名シーンにも出会えるはず!?
by kiratemari | 2007-06-08 19:35 | テレビ | Trackback | Comments(0)

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