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歴史上の人物の死因を解明する書

平清盛の死因探求記事で参考にした書籍をざっとご紹介~♪



 
偉人たちのお脈拝見・英傑の死の謎にせまる
  (若林利光/著:1998年10月30日初版:日本医療企画)
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 第1章 武将たちの寿命戦争
   源頼朝、平清盛、足利義満、毛利元就、上杉謙信、
   武田信玄、豊臣秀吉、徳川家康、伊達政宗、
   蒲生氏郷、加藤清正、池田輝政
 第2章 文化人たちの命の軌跡
   松尾芭蕉、小林一茶、杉田玄白、滝沢馬琴、葛飾北斎、
   石川啄木、夏目漱石、福沢諭吉、北里柴三郎、永井荷風
 第3章 政治家たちの盈縮
   藤原道長、徳川吉宗、上杉鷹山、勝海舟

文人枠もあって幅広い人選。
こちらでの清盛の死因は「髄膜炎」です。風邪から中耳炎か副鼻腔炎を起こし、それがさらに悪化して髄膜炎になったとのお診立て。なお、重盛の死因にも言及していて、こちらは胃潰瘍か十二指腸潰瘍から大量出血を起こした衰弱死とのことです。



カルテ拝見 武将の死因
  (杉浦守邦/著:2000年08月28日初版:東山書房)
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 平重盛、平清盛、源頼朝、北条泰時、北条時宗、足利尊氏、
 毛利元就、武田信玄、上杉謙信、丹羽長秀、蒲生氏郷、
 豊臣秀吉、前田利家、黒田如水、結城秀康、加藤清正、
 池田輝政、浅野長政、浅野幸長、片桐且元、徳川家康、
 徳川秀忠、伊達政宗、徳川家光、徳川光圀

タイトルにある通り「武将」に絞った構成のため(他に『文人の死因』という書も出ています)、圧倒的に戦国武将で占められています。巻末には主な病名の説明もついているので、辞書的な使い方もできて便利かも?

こちらでの清盛の死因は「腸チフス」。『愚管抄』の「温病」がそのものズバリ「腸チフス」のことを差すとかで、『源平盛衰記』、『保暦間記』、『平家物語』でも異本の長門本・八坂本・伊藤本など広範囲の史料からも引用していて、かなり意欲的ではありますが…。

しかし、南都焼討に関する説明の中で「の平重衡をして興福寺・東大寺を焼き払わしめた」とあるのは、主語はいったいどなたなんでしょう? (-_-;)
(経盛? 教盛? 頼盛? 忠度? それとも時忠?)

わずかこの一文のために、私の中では、この本全体への信用度もガタ落ちになってしまいました (~_~;)   《※ 平重衡は清盛の5番目の息子ですのであしからず》

なお、別立ての平重盛の項ですが、こちらは胃潰瘍よりも胃癌を疑うべきとの所見になっています。



c0057946_19342224.jpg英雄たちの臨終カルテ
  (大坪雄三/著:2001年3月16日初版:羽衣出版)

   盛者必衰 ― 平清盛
   諸行無常 ― 後白河法皇
   春宵の夢 ― 源頼朝
   絶息すれど死せず ― 徳川家康

考察の中でもご紹介したものです。
他の書と違い4人の人物に絞り込んである分、一人一人についての掘り下げ方も時代背景など織り交ぜつつ、かなり深く突っ込んだ内容になっています。

しかし、清盛や後白河院に関しては非常に論理的で説得力がある反面、頼朝の項だけは毛色が違い、何やら想像逞しい創作小説と化しておりますので、総じて学術書というよりは、歴史系読み物としてご覧いただく方がよろしいかと思います。



病気が変えた日本の歴史
  (篠田達明/著:2004年12月10日初版:日本放送出版協会)

 第1章 飛鳥の地に跋扈した疫病
c0057946_1941069.jpg   崇仁天皇・聖徳太子・藤原鎌足・藤原不比等など
 第2章 平安貴族を悩ませた糖尿病
   藤原道長・藤原道隆・藤原伊尹・藤原伊周・平清盛など
 第3章 病死した鎌倉・室町幕府の将軍たち
   源頼朝・北条時宗・後醍醐天皇・足利尊氏・足利義満
 第4章 生活習慣病に制覇された戦国武将たち
   武田信玄・上杉謙信・織田信長・豊臣秀吉・毛利元就・
   前田利家・蒲生氏郷・小早川隆景・加藤清正・前田利長・
   真田昌幸
 第5章 徳川家の屋台骨を揺さぶった病いの数々
   徳川家康・伊達政宗・伊達綱宗(政宗の孫)・結城秀康・
   徳川家光・徳川吉宗・徳川家茂・徳川慶喜
 第6章 幕末・明治を震撼させた伝染病
   島津斉彬・阿部正弘・孝明天皇・岩倉具視・高杉晋作・大村益次郎・木戸孝允

この中では一番新しい本だけに、上記の書の説なども踏まえて、内容はうまく整理されているように思います。新書サイズながら古代から近代まで幅広くカバーしており、情報量も他の書と同等以上。

清盛の死因についても、「猩紅熱」説を推しながら、「マラリヤ」「脳内出血」「肺炎説」にもきちんと言及しているので、どれか1冊というのであれば、お値段から言っても、まずこの書から手をつけるのが無難でしょう。



c0057946_19543714.jpg王朝貴族の病状診断
  (服部敏良 著:1974年初版:吉川弘文館)

 1.疾病の解説
   風病、寸白、飲水病、二禁、瘧病、霍乱、腹病、胸病など

 2.病状の診断
   ・歴代天皇
     冷泉天皇、円融天皇、花山天皇、三条天皇、
     白河天皇、堀河天皇
   ・藤原氏
     藤原実頼、藤原師輔、藤原伊尹、藤原兼家、藤原道隆、藤原伊周、藤原隆家、
     藤原道長、藤原頼通、藤原実資
   ・后妃女院
     藤原安子、藤原[心+氏]子、藤原定子、藤原妍子、藤原威子、藤原嬉子、
     藤原超子、藤原原子、郁芳門院
   ・その他
     天台座主慶円、源俊明、源俊房、大江匡房

最後に番外編でもう1冊。
今年復刊されたばかりの書で、著者はやはりお医者さまです。他に同種の本を時代別に数多く出されていて、これは平安時代の天皇と貴族に絞った内容。

ただし、清盛に関する項はなく、今回は瘧病の説明の際に参考にしました。
各個人の病状診断はともかく、源平時代の人物達にも関わりのある病名がずらりと並ぶ「疾病の解説」は一読の価値ありです。



ということで、計5冊の本を一挙並べてみましたが、もし参考になされる場合には、最低2冊以上はご覧になって比較されることを強くお薦めします。これは書によって所見が違うということももちろんありますが、それと共に、いずれの著者も歴史に造詣が深いとはいえ本職は医師で、歴史学者ではないということ。

加えて、出版元が歴史とは無縁の会社も混じっていて、編集段階で細かい部分での誤認をチェックできないまま出版されている恐れもありますので、1冊読んでわかったつもりになるのは大変危険です。特に通説から思いっきり飛躍した新説の場合は要注意。
くれぐれもご用心のほどを m(__)m
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by kiratemari | 2006-10-20 20:11 | 書籍 | Trackback | Comments(8)
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Commented by えりか at 2006-10-21 16:04 x
 手鞠さん、こんにちは♪

 歴史上の人物たちの病気について書かれた本をたくさん紹介して下さいましてありがとうございます。
 私は、医療関係の職に就いていたことがあるので(基礎的な病理学や医学史も一応勉強しました)、歴史上の人物たちの病気については興味があって、「いつか調べてみたい」と思っていたのですよね。

 清盛さんのことには触れていないのが残念ですが、「王朝貴族の病気診断」をまず読んでみたいです。気になる方々がたくさん取り上げられていて興味津々です。
Commented by 手鞠 at 2006-10-21 20:41 x
えりかさん、こんばんは~♪
「王朝貴族の病気診断」は、平安好きのえりかさんには打ってつけの本ですね。道長の飲水病(糖尿病)はわりあい有名ですけど、他の貴族についてここまで細かく書かれているのはたぶんこの書だけではないでしょうか。

ただ、結構お値段が張るのがね…。他の書に比べて特に高いわけではありませんが、初版本より値上げになっているのが、なんともはや…(ため息)。
Commented by sanraku2 at 2006-10-22 22:20 x
『英雄たちの臨終カルテ』、私も読みましたけど、ホント、頼朝の項だけ浮いてるんですよねー(笑)
ただ、私はこの本で、頼朝の征夷大将軍辞任説の存在を知りました(^^;
Commented by 手鞠 at 2006-10-23 19:40 x
sanraku2さん、こんばんは~♪
そうなんですよね。頼朝だけは、死因を○○と結論づけていることもあって(未読の方のために伏字にしておきますね)、史料に基づく病状診断を端から放棄している辺り、そもそもこの本の主旨とは合っていない気が…。
著者が医学博士という時点で、否が応でも、読み手側は医学的な見地からの証左を示してくれることを期待してしまいますから、そこである意味医者でなくても立てられる仮説を熱く語られても、調子が狂うというか何と言うか… (~_~;)

著者が特に力を入れてらっしゃる(?)征夷大将軍辞任説は、私も初めて知りました。といっても、鎌倉に入ると途端に脳内情報量が貧弱になるもので、何もこれに限ったことではありませんが… (^_^;)
指摘されている下文の変遷にも「なるほどな…」とは思いましたが、仮に将軍辞任が北条氏にとって著しく不都合だったのならともかく、頼朝自身が自分は辞任したというのなら、それが鎌倉側の認識だったでしょうから、その旨が『吾妻鏡』に記録されていそうなものですしね。それとも「怨霊に怯えて」なんて理由が露顕すると武士の沽券に関わると思い、あえてその事実を記載しなかったとか?(爆)
Commented by さくら at 2006-10-26 19:03 x
手鞠さん、こんばんは
遅ればせながら、今回のもプリントアウトさせていただきました。
どれも気になるタイトルなので、機会があれば、わたしも手にとってみたいなぁ〜と思いました。
Commented by 手鞠 at 2006-10-26 22:20 x
さくらさん、こんばんは~♪
こういう分野の本でこれほどいろいろ出てるのも考えてみれば面白いですよね。しかも、本によって全然言ってることが違う人物もあったりして…(^_^;)
所見は本当に人それぞれですし、多かれ少なかれ推測が入ってますので、あくまでも一説としてご覧になるのがよろしいかと…。
Commented by びあんか at 2010-07-12 23:59 x
どうも^-^びあんかです
いろんな死因の本が出てるんですねー
Commented by 手鞠 at 2010-07-13 22:50 x
びあんかさん、こんばんは
コメントありがとうございます。
調べてみるといろいろと出て来て私もちょっと驚きました (^^ゞ
歴史上の人物をこういう観点から見て行くのも、また違った面白さがあって楽しいですね。

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