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『平清盛』vol.21「保元の乱」

巷では来年の大河ドラマの一次キャストが発表されたようですが、昨夜記事を上げなかったことからもおわかりかと思いますが、全く食指が動かないのですよ。
人物名を見ても白虎隊絡みの有名どころしかわかりませんし、幕末までは何とか許容範囲なのですが、明治維新以後はどうも興味が沸かなくて…。

どんなに不備な点が多かろうと、今年の『平清盛』は間違いなく完走できる自信がありますが(爆)、来年はとりあえず序盤は視聴するとして、夏場以降どうなっているか…、ちょっと予想がつきませんね。

まあ、来年の話は来年始まってからするとして、今は今年の話を。

いよいよやって来ました「保元の乱」。
歴史に疎いという方でも、この字面は必ずどこかで一度は目にしているはず(小学校の教科書にも載っているかと)の有名イベント回ですが、しかし、平清盛が主人公のドラマでやるには…、ちょいと厄介な題材だったでしょうか。




 
 
内容的には源義朝と為朝の夜討献策、それに対する信西と藤原頼長の対応は通説どおりの流れ。孫子の兵法を引き合いに出しつつ、対照的な両陣営を交互に出すことでテンポ良く運んで行きましたね。何とも言えない緊迫感があって、締めの「ならばすぐに討ってでよ!」の信西のセリフにゾクゾクっと来ました。中々ええ声やったし… (^_^;)

ところで、この後に続く師光のセリフですが、
「殿もお人が悪い。あれでは少しばかり 下野守 が気の毒でござります」

ここ、ノベライズでは 安芸守 となっていたのですよ。

   下野守=源義朝
   安芸守=平清盛

ノベライズの「安芸守」なら、義朝をこれみよがしに褒めておだてて清盛を奮起させようという意図ぐらいの軽いものに受け取りますが、これが「下野守」となると…、何だか物凄い悪意が感じられて急に背筋が寒くなって来るような…。

義朝が気の毒ということは、信西の賛辞や発破かけが実は詭弁で、後で落とす気まんまんということ。まあ、実際に今後の義朝がたどる運命を思えばまさに言い得て妙の発言で、その真意は(カットされなければ)次々回に明かされることになりますが、そこへの伏線にするためのセリフ変更なのか、単なる誤植か、あるいはノベライズ作家さんの取り違えかもしれませんが、ちょっと気になりました。


それはさておき、冒頭に厄介な題材…と書いたのは、史実における保元の乱では正直、平氏の活躍の場などほとんどなかったというのが実情なんですね。しかも、ちょっと今後のネタばれも入りますが、


大いに武功を上げ血を分けた親兄弟を手に掛ける痛みまで伴った義朝よりも、手柄少なく親兄弟よりは縁の薄い叔父を斬るに留まった清盛の方が乱後の恩賞が大きかったという矛盾。それがまた次なる政変への引き金ともなるのですが、この展開、源氏サイド主役なら放っておいてもドラマになる素養たっぷりですが、平氏サイドは体の良い噛ませ犬状態ですから、昨今の主役偏重主義の風潮ではそのままやるわけにはいかない…。

ということで、清盛と叔父忠正の関係にオリジナル要素を付け足して膨らませることになったわけですが、どんなに膨らませても所詮は父子の葛藤に及ぶはずもなく、おまけに保元の乱での戦働きをほぼこの二人の対決一本に絞る(為朝がらみの悲劇もあるにはありましたがあくまでも清盛主体で見て)という、あまり上策とは思えないセレクト。

まあ、午前4時頃から合戦が始まり夜が明ける頃に決着が着いたことになっていますので、合戦自体が2~3時間ぐらいのものとして、その中で清盛vs忠正の打ち合いはせいぜい1時間ぐらいとみれば、時間的にはそう無茶とも言い切れないのですが、演出の問題か、どうも一晩中何時間もぶっ通しで遣り合って、周りも(兎丸一味を除く)それをただボーッと眺めていただけのように見えてしまったのは拙かったですね。せめて既に両軍入り乱れての乱戦モードに入っている最中に遭遇して…という前振りぐらいは欲しかったものと…。

あと、鎮西八郎為朝の剛弓の前にあえなく絶命した忠直を見て、重盛が激情に駆られて飛び出そうとするが止められる…というくだりがノベライズにはあり、後の殿下乗合事件にも繋がる実は激情家の重盛の一面を見せる好機でしたが、ここは完全カット。子役だったからですかね。しかし、既に18歳にもなろうかというのに未だ子役のままというのは、12歳ぐらいから本役で強行した清盛の失敗を踏まえての路線変更でしょうか? (・・?


一方、源氏側では為朝の独壇場のような活躍はもちろんのこと、終末の近づいて来た為義さんのキャラがますます立って来て、次回・次々回の愁嘆場を思うと今からもう切なくて切なくて… (/_;)

また、これに伴う報われない女・由良御前の悲哀、そして、長田忠致の登場で義朝の命運も見えた…ということで、やっぱり保元・平治の辺りは源氏主体の話なんですよね。

だから平氏は黙って引っ込んでろ…というのはいささか乱暴ですが、清盛自身は今はまだ内面を鍛え磨いて行く成長期という位置づけ。

信西の遣り口を間近に見つつそれを自分の血に肉に変えて行き、平治の乱を経て一端の政治家へと大変貌するような予感も抱かせますし、要はそこから先、何だかんだ言ってもやはり『平家物語』に描かれている時代に入ってからが本当の勝負なのだろうと思いますので、平氏主体の物語はそれまで気長に待つことにしましょう。

あと最後になりましたが、摂関家パートの悪左府殿と忠実さんは次回がラスト。
忠実さんについては思いの外しどころのない役回りになってしまいましたが、予告にもあった最後の見せ場がその起用に納得の行くものになっていることを祈ります。
しかし、鸚鵡ちゃんに全部持って行かれそうな予感もなくも… (-"-)
by kiratemari | 2012-05-31 20:03 | テレビ | Trackback | Comments(0)

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