伊根の舟屋と…

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さて、天橋立では思いがけない夕立に遭い、それこそ「バケツをひっくり返したような」という形容がぴったりの猛烈な土砂降り雨に、モノレールから降りてもしばらくは乗り場から動けないほどでしたが、どうにかそれもやり過ごして車に戻り出発。さらに北へ向かい丹後半島の東端にあたる伊根町を訪ねてみました。




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伊根町といえば何と言っても「舟屋」。
巷にも1階がガレージで2階以上が住居という家はざらにありますが、それのマイカーが船に替った版といえばわかり易いでしょうか。

周囲約5kmの伊根湾岸におよそ230余りの舟屋が軒を連ねる風景はこの地方独特のもので、平成5年(1993)の朝ドラ『ええにょぼ』を始め、テレビドラマや映画のロケ地に使用されることも多く、漁村としては全国で初めて国の「重要伝統的建造物群保存地区」にも選定されています。



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一階が駐船場 兼 作業場。
母屋は大抵は道を隔てた山側に別にお持ちなので、二階は住まいというより民宿などに活用されているケースが多いようです。



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ほとんど海面スレスレに建つ舟屋。
これも三方を山に囲まれ、年間の潮の干満差が50cm程度と少ない、非常に穏やかな伊根湾だからこそ可能なものだそうです。




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小高い山の上にある道の駅「舟屋の里公園」からの俯瞰。



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(この画像の拡大表示は こちらをクリック のこと)

のどかな漁村の風景に癒されるひと時でした。
これで青空が広がっていれば言うことなしだったのですが… (^-^;)


さて、ここからまださらに丹後半島をぐるっと一回り。
途中、休憩に立ち寄った道の駅にこんなものが…。



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聖徳太子と生母の間人皇后?
蘇我氏vs物部氏の権力闘争が激化した折に、戦火を避けこの辺りに疎開していたことがあるとかで、都へ戻る際に世話になった礼にと自分の名前を里に与えたところ、それは畏れ多いと「間人」の文字を皇后の御退座にかけて「たいざ」と読み替えて地名としたという伝承が残っているそうです。前々から「間人=たいざ」はどういう当て字かと思っていた疑問がようやく解けました!



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あと同じ道の駅でツバメの巣を発見!
この後、どこからともなく親ツバメが飛来して、餌やりシーンを目の当たりにすることができたのですが、あまりの早業に写真は上手く撮れませんでした(^^ゞ


ということで、またさらに西へ向かい京丹後市網野町へ。
前々から天橋立の方面へ出掛ける際には是非とも訪ねたいと思っていた場所がありました。




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その名のとおり源義経の愛妾静御前を祀る「静神社」。
網野町磯はかの静御前生誕の地と伝えられる場所の一つになっています。

静御前の故郷には諸説あって、その根拠というのが概ね母の「磯禅師」という名前。
大和国磯野(奈良県大和高田市礒野)、讃岐国小磯(香川県東かがわ市小磯)、
そして、ここ網野町磯。

それぞれに誕生上京にまつわる秘話が伝えられているようですが、
とりあえず、この網野町磯の場合は…、

小さな漁村のこの地で生まれた静は6歳で父を亡くし、母に連れられ上京。母の磯禅師は白拍子の元祖とも言われる舞の名手となり、そのDNAを受け継いで静も指折りの白拍子に成長。おなじみの義経とのラブロマンスへと発展して行くことになります。

そして、過酷な運命に翻弄された末、再び生まれ故郷に戻った静は、最愛の人の無事と生まれてすぐに無惨にも命を絶たれた愛児の冥福を祈りつつ、二十余歳という若さでこの世を去ったというお話です。

静神社は彼女が余生を送った庵室の跡(おそらくは幼い頃に暮らした生家の辺りではないかと)と思しき場所に作られましたが、元は200mほど東側の場所にあったのが江戸時代中期の天明2年(1782)に火災で焼失したため、現在地に移転して再建されたということです。




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参道を彩る紫陽花の花。
全く意図せず訪ねたのですが、ちょうど花盛りの時季に重なりラッキーでした (^-^)v



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本当に小さな祠がぽつんとあるだけ。
中に静御前の木造が祀られているという話ですが、真っ暗で見えませんでした(^^;



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地域おこしのキャンペーンとして、丹後にゆかりの伝承などを持つ七人の乙女「丹後七姫」を選定し、それぞれのイメージ花の植栽が各所でおこなわれているそうで、静御前は水仙の花を扇をかたどった花壇に。

「丹後七姫」は他に先ほど少し触れた間人皇后に、味土野に幽閉されていた細川ガラシャなどはわかるとして、なぜか小野小町までに挙げられていてこれは驚きました (?_?)



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境内の奥まった所に展望台という標識があり、小雨の降る中、少々急な階段でちょっと躊躇しましたが、せっかくなので登ってみることに。



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意外に距離があって、3分くらい歩いて展望台に到着。



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相変わらず降ったり止んだりのお天気で見通しが悪く、水平線もかすかにしか見えませんが、手前の岩場辺りにも「弁当岩」、「泣き別れ岩」、「御付浜・入艘の浜」など静御前というより義経にまつわる伝承のものが散在するらしく…。

なんでも、静がここに戻って以後、逃亡中の義経が立ち寄り、最後の別れを惜しんだのだとか。
その時、船を着けた磯とか、静が涙ながらに見送りをした岩などが伝えられているようです。

しかし、その場に設置されていた説明版をよく読んでみますと、「御付浜・入艘の浜」は壇ノ浦よりも以前に平氏追討のための船を集めるためにこちらを訪ねた際に船を着けた場所で、その要請に従い、磯の衆から選ばれた屈強の若者が乗り込んだ船団が屋島・壇ノ浦に出陣したとあり、少し様相が違って来ます。

あるいは水軍を持たない源氏軍にあって、船集めに苦心していた義経が、静から生まれ故郷の磯の話を聞き、藁をもすがる思いでここまでやって来たのかも…。ただ、日本海側の立地を考えると、壇ノ浦はともかく、屋島にまで赴くのはかなり困難なことのようにも思われますが。

ところで、元の静神社の位置は200mほど東ということですが、上の写真でいうと右端の方の、突堤のようになっている部分の延長線上の辺りになり、そこにも「静御前生誕の地」の石碑が建てられています。




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細い路地をひたすら下って海岸べりへ。
ここにもまた紫陽花の花が。



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先にも書きましたとおり、静御前の出生地あるいは終焉地には諸説あり、どれも伝承の域からは抜け切らず、信憑性の点では欠けますが、それでも一つ感じたのは、静御前という人は本当に多くの人に愛されているのだなということ。

全国の各地に伝承の数だけ墓やゆかりの碑が作られ、そこに花を手向け、手を合わせてくれる人が数多くいるというのは女、いや人間冥利に尽きますね (^^ゞ



【このページの写真は平成21年7月4日に撮影したものです】



《メモ》
  伊根の舟屋・伊根湾めぐり遊覧船 【地図】
   京都府与謝郡伊根町
   TEL:0772-32-0009
   遊覧船運賃… 大人660円、子供330円
   営業時間… 9:00-16:00(毎時0分・30分に運航)

  静神社 【地図】
   京都府京丹後市網野町磯
   TEL:0772-72-0900(網野町観光協会)
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by kiratemari | 2009-09-13 01:20 | ├京都 | Trackback | Comments(0)
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